2022年、斬新なデザインのスマホ「Nothing Phone(1)」をリリースし、日本でも話題を集めた英国の新興メーカー・Nothing Technology。同社が2021年に初のプロダクトとしてリリースしたのはワイヤレスイヤフォン「Nothing Ear(1)」だった。その後継モデル「Nothing Ear(2)」が3月に発売された。デザインに大きな変更はないが、性能を大幅に向上させたことをアピールしている。
Nothingは、2022年11月に「Nothing Ear(stick)」という製品も出しており、ワイヤレスイヤフォンはEar(2)が3モデル目となる。今回、3モデルを使い比べる機会を得たので、音質と使い勝手をじっくり比べてみた。なお、筆者はiPhone 14 Proとペアリングして使用した。
価格(税込み)はEar(2)が2万2800円、Ear(stick)が1万6800円、Ear(1)が1万8500円。
Ear(1)は、ステムの部分が透明のスケルトン調で、充電ケースも透明で収めているイヤフォンが丸見え、という斬新なデザインが注目を集めた。後継のEar(2)も同じデザインを継承。しかし、前モデルからの軽量化が図られており、充電ケースはひと回り小さくなり、5.5gも軽くなった。イヤフォン本体も0.2gほど軽くなっている。
Ear(1)のカラバリはホワイトとブラックの2色だったが、Ear(2)はホワイトのみになった。Noting Phone(1)はホワイトとブラックの2色展開なので、Phone(1)のブラックと合わせて使いたいと思っていた人は残念に思うかもしれない。
ケースは付属のUSB Type-Cケーブルで充電できるが、もちろん、普段スマホの充電に使っているUSB Type-CケーブルでもOK。さらにワイヤレス充電に対応しているので、ワイヤレス給電に対応しているスマホの背面に載せて充電することもできる。
イヤフォンは、Ear(1)よりもEar(2)の方がステムがわずかに長かったり、穴の位置が異なったりするが、外見上の違いは、よく見ないと分からない程度。しかし、内部には大きな改良が加えられている。
Ear(2)では、より多くの空気を取り込んで、円滑に空気を流すために「デュアルチャンバー」を採用。それに合わせて、スピーカーの穴も大きくなっているという。また、ダイヤフラム(振動板)の素材にはポリウレタンとグラフィンを組み合わせ使用。Nothingによると「ポリウレタンによって低音域の性能を高めて、グラフィンは音に明瞭さを与える機能を果たす」とのことだ。
アクティブノイズキャンセリングはEar(1)にも搭載されていたが、Ear(2)では、よりユーザーに最適化して使えるものに進化している。Ear(1)ではノイズ除去のレベルを2段階から選べたが、Ear(2)では3段階になり、さらに、環境によって自動で調整される「アダプティブ」に設定することも可能に。
耳の聴こえ方は人によって異なる。ユーザーの耳に最適化する機能が追加されたこともEar(2)のアドバンテージだ。
Ear(1)、Ear(2)ともに3サイズのイヤーチップが付属している。Ear(2)では、使い始める際に「イヤーチップのフィットテスト」を行って、自分に最適なイヤーチップを客観的に選べるようになった。左右の耳は等しくないので、例えば “右がMで、左はL” など、左右異なるサイズがすすめられることもあるようだ。
雑音に混じって聴こえるビープ音を聴き取るテストを行って、自分に最適化されたイコライザを作成できる機能も追加。そのデータをノイズキャンセリングに生かすこともできる趣向だ。
Ear(1)はステムをタップしたり、スワイプしたりして操作できるようになっていた。しかし、Ear(2)はステムをつまむようにカチッと押す「プッシュコントロール」に変更されている。これにより、操作時にイヤフォンがずれることがなく、操作時のノイズも少なくなった。なお、コントロールは「Nothing X」アプリでカスタマイズできる。
Ear(2)は2台のデバイスに同時に接続できる「デュアル接続」にも対応した。これにより、音楽を聴きながら、他のスマホで着信した電話に応答するといったことも可能になった。
より高性能なチップの採用により、電池効率も向上。ノイズキャンセリングをオフにした場合も再生時間は、Ear(1)は最大5.7時間だったが、Ear(2)は最大6.3時間に延びた。充電ケースを使った場合は、Ear(1)が最大34時間で、Ear(2)は最大36時間。2時間長くなっている。
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