楽天、825億円の赤字ながら収益改善をアピール 「新ローミング契約は財務の安定性に貢献」(2/3 ページ)

» 2023年05月13日 18時00分 公開
[房野麻子ITmedia]

「ワンクリック開通」はデータSIMから

 また、5月下旬のMNPワンストップ開始に合わせ、非常に簡単に楽天モバイルに加入できる「ワンクリック開通」についても言及。「楽天グループのサービスには1日4000万人来ているので、基本的にはそこでワンクリックで開通できる」とアピールし、「一気にユーザー数が増えていくのではないか」と期待した。

 「ほとんどの携帯電話がeSIMに対応し、そして楽天グループ(楽天銀行、楽天カード、楽天証券、楽天保険など)は本人確認書類をいただいている。そういう方々については、まずデータSIMについては本人確認をせずに、そのままワンクリックで開通していただき、通常の音声SIMについても可及的速やかにワンクリックで開通ができるようになる」(三木谷氏)

 なお、データSIMはお試し的に提供するもの。音声SIMと同じ料金、データ無制限で、ワンクリック開通は6月中に提供すると述べた。音声SIMのワンクリック開通については「2カ月遅れぐらいで始められる」とのことだ。

楽天 eSIMのワンクリック開通の流れ

 例えば楽天市場のトップページにあるプロモーション用バナーをクリックすると、新規申し込みページに遷移。既に入力された契約者情報を確認し、ボタンを押すと申し込みが完了。eSIMを選択している場合はプロファイルがダウンロードされ、数分後にはモバイル回線が開通。SMSメッセージで開通したことが通知される。

 「楽天グループのWebサイトでログインしている方は、基本的にユーザー名もパスワードも入れなくていい。クレジットカードを登録している方はワンクリックで開通する。乗り換えにくいとか、本人確認が面倒くさいとか、そういう面倒くさいところを全部取っ払ってしまえということ」(三木谷氏)

 さらに今回、楽天モバイル回線とKDDI回線のハンドオーバーもスムーズになるという。「楽天からKDDIさんに行くときは問題なかったが、KDDIさんから戻ってくるとき、多少ラグがあるということだった」が、ソフトウェアの設定変更によって「ほぼシームレスになっていく」という。

「新ローミング契約は財務の安定性に貢献」

 新ローミング契約で気になるのがコストだ。三木谷氏はこれまで、KDDIのローミング料金の高さについて何度もこぼしてきたが、新ローミング契約では負担が軽減されるようだ。

 設備投資のキャッシュアウトは、2023年に1000億円以上の削減、24年、25年に向けて合わせて約3000億円の削減を予定している。一方、新ローミング契約の内容については「守秘義務契約の関係もあって詳しくは説明できない」と述べるも、2022年度第4四半期決算時に発表した月間150億円程度の費用削減目標は変わらないという。「新ローミング契約は財務の安定性に貢献する構造」と説明した。

楽天 新ローミング契約による業績への影響はポジティブ

 エリアカバレッジの問題は新ローミング契約のおかげでひとまず解消されるが、今秋に割当てされると予想される700MHz帯については割り当て希望を既に表明。800MHz帯と900MHz帯についても「将来的には獲得していく」可能性を示した。楽天モバイルのネットワークはソフトウェア化を進めているので、「プラチナバンドの導入に関しては、それほど大きな費用負担にはならない」との考えだ。

楽天 700MHz帯は今秋にも割当が予想されている

 質疑応答では5Gのエリア展開についても語っている。

 「われわれはソフトウェアでやっている。ソフトウェアをアップグレードすることで、今使っている周波数帯であれば、4Gを5Gに変換できる。周波数帯が違うので基地局のアンテナを付けなくてはいけないが、だいたい5Gを考えた上でロケーションを決めている。新しいサイトの獲得は、ほぼ必要ない。4G基地局に5Gのアンテナを付けてソフトウェアをアップグレードするだけで4Gから5Gにアップデートできる。追加投資のコスト構造が他社と圧倒的に違う。これが仮想化技術のミソ。

 Sub-6GHz帯については、他社さんもそうだが通信衛星の干渉問題があり、東京はかなり厳しいが、確か2024年中に解決されていくと思っている。考えなくてはいけないのは、プラチナバンドを5Gに利用してもパフォーマンスが上がらないこと。ディスプレイ上の数字が4から5に変わるだけで5Gが実現したみたいな話をしても意味がないので、実効的な5Gにする必要があると思っている。この5Gを楽天はかなり安く展開することができる」(三木谷氏)

 楽天シンフォニーのCEO、タレック・アミン氏は、ドイツの1&1に導入済みの5Gについて説明し、スループットが速いだけでなく低遅延なこと、さらにネットワークが自律的でネットワーク運用に必要な人員が非常に少なく済むことなどの利点を挙げた。「とても自信がある。日本でも他の市場でも、これが将来のネットワークの青写真になると思う」と胸を張った。

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