楽天、825億円の赤字ながら収益改善をアピール 「新ローミング契約は財務の安定性に貢献」(3/3 ページ)

» 2023年05月13日 18時00分 公開
[房野麻子ITmedia]
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さらなるユーザー数増加、解約率低下を図る

 解約数、解約率も大幅に下がってきているという。今回の最強プランでさらに解約率が低下し、「近い将来、業界水準あるいはそれより下回るところまで行ける」と自信を見せた。

楽天 契約回線数は5月10日時点で465万回線
楽天 解約率は低下傾向

 期待しているのが、楽天モバイルと楽天エコシステムの強力なシナジーだ。楽天エコシステムから楽天モバイルへの流入はワンクリック回線で促されると予想。また、楽天モバイルの加入によって楽天グループの各種サービスがより使われるようになることは、これまでもよく説明している。

楽天 他キャリア経済圏とのネット・プロモーター・スコア(NPS)の比較。楽天グループのNPSは他社に比べて20ポイント以上、上回っているデータを示し、楽天エコシステムの強さをアピールした。このエコシステムをうまく使いながら楽天モバイルのユーザーを増やしていくという
楽天 楽天グループの月間アクティブユーザー数4000万人の中で、楽天モバイルを契約している人の「浸透率」は現在10%強。「これを3割、4割と上げるだけで、かなりの収益源になっていく」

 ARPUも順調に上昇しており、モバイルARPU(1959円:決算データシートより)にエコシステムARPUアップリフトを加えたものは2652円。エコシステムのリフトアップをさらに増やすとともに、データ通信量の増加、オプション利用でARPUはさらに増えていくが、三木谷氏は「まずはユーザー数を増やすことに傾注していきたい」と語った。

楽天 0円プランの廃止以降、ARPUは徐々に上昇。楽天グループのサービス利用、5G拡大などによるデータ通信量の増加やオプションの利用などでARPUをさらに上げていくとする
楽天 平均日次データ使用量。1カ月あたりでは20GBに近く「他社さんの2倍以上になってきている」

 新たな収益源としては、法人契約、Rakuten Linkアプリ内の広告、今後提供を予定している高速インターネットサービスや楽天ひかりを挙げた。法人契約は楽天グループの取引先90万社を中心に「25%のマーケットシェアを取ろうということで動いている。順調に推移している」とした。

 楽天シンフォニーの業績についてはタレック・アミン氏が説明。2023年第1四半期の売上収益は7600万米ドルで、前年同期比14.6%増となった。クラウドビジネスやOSS(運用支援システム)のセグメントが好調だったという。

 「(2021年〜22年の)創業期は(楽天モバイルで)日本でトライアルを行っていきながら、その品質、信頼性、スケーラビリティを実現し、その結果、楽天がO-RANの分野で、世界で引っ張っていくことができるようになった。今(2023年〜24年)は収益化のステージ。主要顧客から着実な受注をもらっていく。ブラウンフィールドでの商用O-RAN展開も重要。また、OSSとクラウドのけん引力を加速させていく。2025年〜30年は収益成長のステージ。楽天が、特にO-RAN、OSSの分野において世界のリーダー、パイオニア、そして選ばれるパートナーになってくる」(アミン氏)

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