楽天モバイルは5月12日、新料金プラン「最強プラン」を発表した。6月1日より提供を開始する。
新料金プラン「最強プラン」では、従来の料金体系を踏襲。大きな違いとして「auローミング利用時の月間5GB制限」が廃止された。ローミングサービスが利用できるエリアも拡大し、屋内や中山間地域でのエリアを拡充する。
月額料金は段階制で、データ容量0〜3GBまでが月1078円、3GB〜20GBが2178円、20GB以上は上限無制限で3278円となっている(料金は全て税込み)。音声通話とSMSは「Rakuten Link」アプリで用いれば利用料無料となる。
海外ローミングは、世界の69の国と地域で提供中。月2GBまでが無料で利用できる。容量超過後は1GBあたり500円でチャージできる。
楽天モバイルは楽天ポイントを支払いに利用できる。楽天モバイル契約者は、楽天市場などの楽天のサービスでポイント付与率が3倍となる。他のポイント増量施策との組み合わせで、最大16倍還元も実現できるとしている。また、楽天マガジンやNBAパリーグスペシャルなどのコンテンツサービスについて、楽天モバイルユーザー向けの無料枠も提供される。
楽天モバイルの自社回線は2023年4月末時点で人口カバー率98.4%に到達している。楽天モバイルの屋内や繁華街、構想ビルなどでつながりにくいエリアが残されているが、au網のローミングサービスの利用範囲を拡大し、6月以降に人口カバー率99.9%を達成するとしている。
なお、ローミングサービスは4G LTEのみとなっており、5Gは楽天モバイルの自社エリアのみで展開される。楽天モバイルは5Gの人口カバー率を公表していない。
楽天モバイルの鈴木共同CEOは、自社回線のエリア拡充は今後も継続し、2023年度中の獲得が見込まれるプラチナバンドを活用していく方針を説明した。一方で、三木谷会長(楽天グループCEO)は、「新しいローミング協定により、可及的速やかにネットワークを構築する必要はなくなったと考えている。既に着手している分は進める」と当面の基地局建設のペースを緩める方針を示している。
楽天モバイルは6月末以降に、オンライン申込手続きをシンプルな手順で行えるサービス「ワンクリックお申し込み」の提供を開始する当初はデータプランを対象としている。
ワンクリックお申し込みは、新規契約時の情報登録からeSIM開通までをボタン1つで完了するサービス。楽天会員として登録している人が利用できる。契約情報の入力やeSIMのダウンロードといった手順を自動化し、約30秒程度の待ち時間で開通できるようになる見込みだ。
なお、楽天モバイルは現行プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」ではデータ専用プランを提供していない。6月のワンクリックお申し込み提供開始に合わせて、新たにデータ専用プランを提供する予定としている。
MNPでは従来、転入元キャリアと転出先キャリアの双方で手続きが必要だったが、2023年に「MNPワンストップ化」が実現し、転入先キャリアだけでの手続きで完了するようになる。楽天モバイルは5月下旬にMNPワンストップ化に対応予定としている。
Rakuten Linkのデスクトップ版アプリは、8月1日に正式な提供が開始されると発表された。PC上から楽天モバイル回線での音声通話やSMSを利用できるようになる。
携帯電話サービスを提供するためには、全国に多数の基地局を建設する必要がある。ネットワーク整備の費用の高さは、楽天が2017年に携帯事業への新規参入を表明して以来、投資家などからたびたび指摘されてきた。また、参入表明以降、大手3キャリアが政府の方針をくんで携帯料金値下げを実施したことも、楽天が新規ユーザーを獲得する逆風となっている。
5月10日の官報に掲載された楽天モバイルの決算広告からも、この苦境がうかがえる。同社は2022年通期で、4265億9100万円の純損失を経常している。
現状の料金体系を維持しつつ、事業ができるのかという疑問に対し、三木谷氏は「みなさんがざくざく入っていただけると。そのままいけるのではないか」と見解を示している。三木谷氏は楽天モバイルの優位性として、4G LTEの成熟期に参入したため、コアネットワークの運営コストが競合他社より安価なこと、楽天シンフォニーがコアネットワーク技術を海外に販売することで得られる収益があることを挙げた。
なお、楽天グループは12日の15時から決算説明会を実施する。会見では、楽天モバイルの動向についても説明される。
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