「OPPO Reno9 A」のスペックから分かる“苦肉の策” それでも売れる要素は備えている

» 2023年06月14日 15時45分 公開
[田中聡ITmedia]
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 OPPOの最新スマートフォン「OPPO Reno9 A」が、6月22日に発売される。先代の「OPPO Reno7 A」から約1年ぶりとなる新モデルだが、単純にスペックを見比べると、Reno7 Aからの差分は乏しい。SNS上では「マイナーチェンジでは」「がっかりした」など落胆の声が挙がっているが、Reno9 Aはどんな人に向いているモデルなのか。

OPPO Reno9 A OPPOの国内向け最新スマートフォン「OPPO Reno9 A」

より長く、快適に使えるよう強化

 まずは先代のReno7 Aとの違いから確認しよう。大きくまとめると、Reno7 Aから進化したポイントは以下の5点になる。

  • 背面の素材がポリカーボネートからガラスに変更
  • メモリが6GBから8GBになり、最大16GB相当まで拡張可能に
  • マルチタスク時にリソース配分を最適化する「DCE(Dynamic Computing Engine)」を採用
  • 過充電を防ぐ「バッテリーケア充電」が、夜間だけでなく日中も設定可能に
  • インカメラで被写体の周囲をモノクロにできる「AIカラーポートレート」が利用可能に

 背面素材がガラスになったことで質感が増しただけでなく、指紋が付きにくくなり、耐傷性や硬度も上がっているという。「より長くキレイな状態で使っていただける」とオウガ・ジャパン プロダクト部企画課の齋藤裕明氏はアピールする。

OPPO Reno9 A 背面にはガラス素材を採用しており、滑りにくいつや消しの塗装を施しているが、カメラ周りはガラスそのままの光沢感を残している
OPPO Reno9 A Reno7 Aで採用した独特の輝き「OPPO Glow」を継承している

 メモリの拡張機能はReno7 Aでも採用していたが、拡張できたのは最大11GB相当までだった。一方、Reno9 Aでは最大16GB相当まで拡張可能になる。拡張する容量は4GB、6GB、8GBから選べ、その際に拡張容量の半分のストレージを消費する。例えば最大の16GB相当まで拡張する場合、8GB分を追加するので4GBのストレージを消費することになる。なお、メモリを拡張してもバッテリーへの影響はないとのこと。

OPPO Reno9 A 3段階でRAMを拡張することができる

 Reno7 Aと比べてどの程度快適になるかの数値的な指標は非公表だが、「日常で使う操作感はアップする。カメラの起動速度など、スタンバイから立ち上げた場合実感していただける」(齋藤氏)とのこと。

 DCEはマルチタスク操作をする際に効果を発揮するもので、「CPUやGPU、メモリなどのリソース配分を最適化して動作を安定させ、消費電力も改善させられる」とオウガ・ジャパン 営業推進部の中川裕也氏は説明する。

OPPO Reno9 A バックグラウンドで起動しているアプリの動作を安定させるDCEを新たに採用した

 バッテリーケア充電は、Reno7 Aでは夜間しか利用できなかったが、これが日中でも設定可能になる。例えば、毎日12時〜15時に会社でReno9 Aを充電しっぱなしの場合、そのサイクルを端末側で学習し、他の日に充電をしても、15時に100%に達するよう調整する。100%のまま充電を継続するとバッテリーに負荷が掛かるため、日中に充電をすることが多い場合でも、バッテリーを長持ちさせることができる。

プロセッサはなぜSnapdragon 695 5Gから変更なしに?

 プロセッサのSnapdragon 695 5G、6.4型ディスプレイ、3眼カメラ、4500mAhのバッテリーなどのハードウェアスペックはReno7 Aと同じ。ちなみにカメラはReno7 Aと全く同じモジュールを使っているとのこと。サイズは大差ないが、背面にガラスを採用したことで、重量が約175gから約183gに重くなった。

OPPO Reno9 A
OPPO Reno9 A Reno7 Aから据え置きとなった3眼カメラ
OPPO Reno9 A 唯一追加されたのが、被写体の背景をモノクロにする、インカメラ用の「AIカラーポートレート」

 ミッドレンジスマホ向けにはSnapdragon 778G 5Gや、その後継となるSnapdragon 7 Gen 1も投入されている。SNS上でも、プロセッサを変更しなかったことに対して不満の声を挙げている人が多い。Snapdragon 695 5Gを継続した理由について齋藤氏は「円安、物価高の影響を考慮したため」と説明する。「Reno7 Aを購入したユーザーのアンケートからデザインとサクサクの操作感に満足いただいていることが分かった。(Snapdragon)695でご満足いただいていると判断した」(同氏)

OPPO Reno9 A Reno7 Aユーザーからは、デザインやサイズ感、サクサクの操作性を評価する声が多く挙がっていた

 少しでも性能を重視するなら、よりよいプロセッサを使うに越したことはないが、その分、価格が上がるというジレンマがある。あえて据え置きとしたのは、4万円台という価格を維持するための苦肉の策といえる。それでも、1年前と比べて物価高が進んでいる中で、Reno7 Aとほぼ同じ4万6800円(税込み、直販サイト)という価格を維持したことは評価すべきだろう。

 Reno7 A同様、Reno9 Aも3年間使える性能をうたっているが、OSバージョンアップについては「キャリアが扱っているものは各事業者と協議の上で決定している。具体的な回数と実施時期はお伝えできないが、検討はしている」(齋藤氏)とのこと。ちなみに、Reno7 Aのオープンマーケットモデルについては、2023年5月にAndroid 13へのバージョンアップを実施している。それ以降のOSバージョンアップについては「検討中」となる。

OPPO Reno9 A Reno9 A、Reno7 A、Reno5 Aのスペック比較。Reno7 Aからのアップデートをオレンジ、Reno5 Aからのアップデートを薄いオレンジで示している

OPPO Reno9 Aは誰向けのモデル?

 Reno9 Aは、スマートフォンを毎年買い替える人、というよりは、2〜3年に一度くらいの頻度で買い替える人に向いている。Reno5 AやReno7 Aから買い替えるメリットは乏しいが、3年前のReno3 Aや4年前の初代Reno Aなどのユーザーにとっては進化の幅が大きく、2〜3年前のスマホを使っている人にとっては有力な選択肢になるだろう。

【訂正:2023年6月14日16時55分 初出時、「3年前のReno3 AやReno5 A」としていましたが、正しくは「3年前のReno3 Aや4年前の初代Reno A」です。おわびして訂正いたします。】

 Reno9 A発売後もReno7 Aはしばらく併売されるが、在庫がなくなり次第、順次Reno9 Aに切り替わっていく。そんな中でReno9 AのハードウェアスペックがReno7 Aと大差ない、となると、より価格の安いReno7 Aも候補に入る。特に、キャリアやMVNOが実施しているキャンペーン施策を活用すれば、Reno7 Aは2万円台、安ければ1万円を下回る価格で手に入る。

 それでもReno9 Aを選ぶメリットについては「メモリの大きさやガラスなどから、より長く使っていただけること」を齋藤氏は挙げる。直近のライバルはReno7 Aになりそうだが、防水とおサイフケータイの対応で4万円台という価格は十分競争力がある。Reno9 AもReno7 Aと同様、キャンペーン施策でより安く買えるタイミングが来るはずなので、各社の施策をチェックしながら、購入のタイミングを見極めるといいだろう。

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