「宅内で楽天モバイルが圏外」――。そんな悩みをどうにかして解決できないと思い、「Rakuten Casa6」を導入した。
Casa6をはじめとするフェムトセルは、平たくいえば、自宅にあるインターネット回線を利用して、携帯電話の電波改善を図ることを目的に、楽天モバイルが所定の条件を満たした人に貸与している。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクもフェムトセルを取り扱っている。
このフェムトセルという名の機器、言葉はもちろん、その存在すら一般に広く知れ渡っていないようなので、まずはフェムトセルがどのような役割を果たすのかを説明する。
携帯電話は英訳で“Cellular Phone”(セルラーフォン)と表す。CellularのCell(セル)は直訳すると「細胞」だが、1つの基地局が電波を発してカバーできる範囲を示す。これがいくつも存在することで、広い範囲で携帯電話通信サービスを利用できるようになる。
街中や駅などに設置される基地局は、半径1km〜数km程度をカバーできる。家やオフィスの電波改善目的で貸与されるフェムトセル(Femtocell)は、街中などにある基地局よりもさらに小さな数メートル範囲をカバーする基地局。形はルーターに似ており、小規模カバーである反面、小型なものが多い。
フェムト(Femto)というワードはミリ、マイクロ、ナノ、ピコよりもさらに小さい1000兆分の1を示す接頭語だ。フェムトセルが実際にカバーする範囲がマイクロセルと比べて10億分の1も小さくなるわけではないが、非常に小規模の範囲をカバーすることから、フェムトという用語が使われている。
フェムトセルは総務省から許可が出なければ、事業者を介して貸与されなければ、設置、設定すらできない決まりとなっている。電波法に準ずるわけだ。
携帯電話の電波を発するフェムトセル、いったいどのようにつながるのか。実は単体で電波を発するわけではない。フェムトセルは宅内やオフィスの固定回線(電話や光ファイバーなど)が既にあることが前提となる。
これはフェムトセルが宅内などに通された、光回線などのブロードバンド回線を介して、移動体通信事業者(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル)のコアネットワークへ接続する仕組みであるためだ。
フェムトセルの設置後はそれまで利用不可、あるいは利用しづらかった携帯電話での通話やメール、それにインターネットなどのモバイルデータ通信サービスが利用できるようになる。
ただ、先ほど述べたように非常に小さい範囲をカバーすることに加え、出力が小さいことから、フェムトセルとそこから発する電波を受信する携帯電話との距離は近い。そのため、事業者はユーザーに「携帯電話の電波状況が、フェムトセルの設置により、おおむね一部屋分改善される」と案内している。
電波改善に活用される機器として、フェムトセルの他にもレピーターが存在する。レピーターはフェムトセルのように宅内などのインターネット回線を使わず、最も届きやすい周波数を増幅して電波改善を図る機器だ。ただ、こちらは楽天モバイルでは貸与されていない。
Casa6もフェムトセルに該当する。ただ、楽天モバイルは以前、フェムトセルのみの機能を備えるCasaを提供していたが、2023年7月現在はフェムトセルと無線LANルーターの機能を併せ持つCasa6を貸与している。よってユーザーはCasaを選択できない。
レンタル代金は無料だが、Casa6を紛失したり、契約が終了した後、一定期間が経過しても返却しなかったりした場合、違約金として2万円(非課税)が請求される。
なお、前提としてCasaをいきなり申し込んでも使い始めることはできず、あらかじめ訪問による電波調査を実施し、その調査結果を踏まえた上で設置の案内があった場合にCasa6の申し込みへと進める。さらに、Casa6の申し込みに際しては、以下の条件を満たしている必要がある。
楽天モバイルが指定するインターネット回線は、「Casa対応インターネット回線一覧」から確認できる。記者は個人名義で契約した「ドコモ光」と、マンションの管理組合で加入した「サイバーホーム」(※1)を持っていたので、申請がスムーズにできた。
(※1)楽天モバイルが指定する「Rakuten Casa」対応インターネット回線に、ファミリーネット・ジャパンのサイバーホームが加わったのは、2023年7月3日となっている
なお、フレッツ 光ネクストや、ドコモ光、楽天ひかりなどを含む光コラボレーションモデルの回線を持っている場合は、Casa6を申し込む際に「お客様ID(CAF+10桁、またはCOP+8桁)」の入力が必要になるため、事前に契約書などを確認の上、用意しておくことをお勧めする。
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