povo2.0の国際ローミング、提供まで約2年かかった理由 新たな海外通信の模索も石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2023年07月22日 10時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 7月20日に、KDDIのpovo2.0が国際ローミングのサービスを開始した。一斉ではなく、ユーザーごとに徐々に適用されていき、8月9日には全員が利用可能になる予定。まずは音声通話とSMSから対応がスタートし、8月1日の午前10時から、データローミングも可能になる。これに伴い、povo2.0のアプリには、「国内」「海外」というタブが新設される。海外渡航時に利用するデータ容量は、この海外タブからトッピングと同じように購入する形だ。

 2021年9月にサービスインしたpovo2.0は、ユーザーに寄り添うことをコンセプトに掲げ、基本料を0円にしつつ、トッピングで自由にデータ容量やオプションを追加できる新しいスタイルを採用した。一方で、国際ローミングに関しては後手に回っており、対応を求める声が高まっていた。コロナ禍での渡航制限がなくなり、海外旅行、出張が復活する中、そのニーズはさらに強くなっている。こうした状況を踏まえ、ついにpovo2.0が国際ローミングをスタートした。

povo2.0 国際ローミング povo2.0の国際ローミングが、7月20日に始まった。現時点では音声通話とSMSのみだが、8月1日からデータ通信も対象になる

 ただ、競合他社のオンライン専用ブランド/プランでは、サービスイン当初から国際ローミングが利用できたものも多い。ドコモのahamoや、楽天モバイルは、海外でのデータ通信が無料になることも売りにしている。なぜ、povo2.0はサービスインがここまで遅れたのか。その背景には、同ブランドならではの新しい海外での通信を実現したいという思いがあった。本連載ではpovo2.0を率いるKDDI Digital Lifeの代表取締役社長、秋山敏郎氏に導入の経緯を聞きつつ、サービスの狙いを探っていく。

「レギュラー」「エリア」「ワイド」の3つを用意、データ容量の選択が可能に

 7月20日から、povo2.0の国際ローミングがスタートした。データローミングは、8月1日から導入される。全てのユーザーが国際ローミングを利用可能になるのは8月9日だが、海外渡航予定があるなど、急ぎの場合はエントリーをすることで、対応を早めてもらうことができる。8月1日のサービスインを予定するデータローミングは、国内での通信と同様、データ容量と日数ごとに分かれたトッピングを購入する形になる。

 この点は、日数だけを選択し、料金もほぼ一律で決まっている大手キャリアの国際ローミングとは大きく異なる。例えば、同じKDDIでもauやUQ mobileの場合、「世界データ定額」で通信が必要となる日数を選択する。料金は早割キャンペーンの対象で最も安い国が24時間490円(不課税、以下同)。事前予約をしていないと、24時間980円の料金がかかる。データ容量は、契約している料金プランが上限になり、海外で使った分もそこから引かれていく形だ。

povo2.0 国際ローミング povo2.0が開始した国際ローミングの概要。音声通話とSMSは、既にサービスを開始している

 これに対し、povo2.0はトッピングと同じように、1GBなり3GBなりのデータ容量を追加していく。それぞれのトッピングには期限が設けられており、必要な分だけをユーザーが選択できる形だ。料金体系は90以上の国や地域をカバーする「レギュラー」と、日本人の渡航が多く、通信料が比較的安めの「エリア」、より幅広く160以上の国や地域で利用が可能な「ワイド」の3つに分かれている。

povo2.0 国際ローミング データ通信は、国や地域で区分を3つに分け、それぞれに料金を設定した

 例えば、日本人の渡航先として人気が高いハワイを含んだアメリカは、1GB、3日間のトッピングが780円。3GB、7日間は2260円で利用できる。これに対し、90以上の国や地域をまとめてカバーするレギュラーの場合、1GB、3日間は1480円。3GB、7日間だと4280円になる。ワイドは渡航の少ない国や、ローミング料が高い国まで幅広くカバーしている一方で料金は高く、0.3GB、30日で6980円かかる。

povo2.0 国際ローミング 海外渡航先として人気が高く、ローミングのコストが安価な国や地域は、エリアとして料金を抑えた

 このような料金体系になった理由について、秋山氏は「ローミング料の安いところ、高いところや、渡航の多いところ、少ないところを加味した」という。90以上の国や地域をカバーしたレギュラーを基本にしつつ、「その中でも特にたくさんの方がいかれるであろうエリアをお買い得にして、アメリカや韓国などのエリアトッピングを設定した」。

 一般的に、国際ローミングは接続する相手先のキャリアとの交渉で料金が決まる。国や地域、キャリアによっては、どうしても料金が下がらないこともあり、一律での提供は難しい。国際ローミングを無料にしているブランドでも、国や地域が限られているのはそのためだ。povo2.0がレギュラーとエリアに分かれているのも、同様の理由になる。一方で、「対地の数は通信の基本」との考えから、あえてローミング料が高い国や地域も、非対応とせずにそのまま提供することにした。

povo2.0 国際ローミング 高額にはなるが、つながることを重視し、あえてワイドのエリアも残したと語る秋山氏

 0.3GBで6980円は高額だが、まったく通信ができないよりはいい。「高いと言われるとは思ったが、通信事業者たるもの、やはりいろいろなところで使えるようにしなければいけない」との考えが根底にあった。また、このような国や地域では、「空港で現地SIMを買われるパターン」も想定しているという。こうした使い方まで踏まえているのは、自由にトッピングを組み合わせることが可能な“povo2.0らしさ”といえる。

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