データ容量は、レギュラーが0.5GBから1GB以降は1GB刻みで5GBまで用意されている。エリアは、1GBか3GB、ワイドは0.3GBだ。このデータ容量は、「povoのお客さまに国内でも海外でも同じように使っていただく前提」で設定された。povoのユーザーは「月にならすと10GBぐらいで、1日平均0.3GBぐらい。その辺を念頭に価格設定している」という。
0.5GBなど、少ないデータ容量を用意したのは国内同様、サブ回線として使うことを意識したため。例えば、家族旅行の際にWi-Fiルーターを1台レンタルし、全員の回線をそれでまかなっていたとする。この場合、家族から離れて単独行動すると、データ通信ができなくなってしまう。このようなときでも、povo2.0なら0.5GBだけ購入して、ローミング料を抑えることが可能だ。
また、メイン回線で国際ローミングしていたら、データ容量が尽きてしまったときにも、0.5GBプランを「ちょい足しできる」。国内では「月末になると24時間無制限や1GBのちょい足しがあるが、そういったシーンも(海外で)増えてくる」と見込む。povo2.0の立ち位置を踏まえ、その延長線上にある使い方ができるように料金プランを設計したというわけだ。
秋山氏は「あまりスポットライトが当たっていなかった使い方もできるプロダクトにしたかった」と語る。実際、上記のような例は、これまで、大手キャリアがあまり想定してこなかったユースケースだ。さらには、駐在、留学で長期に渡って海外に住むユーザーの利用もカバーしているという。秋山氏自身も海外駐在経験があり、その際に「日本の電話番号をどうキープするか」が課題だったと語る。「普段海外にいる方は(日本の回線を解約して)現地のSIMを買われていると思うが、それだと日本に帰ってきたときに大変になる」からだ。
povo2.0は基本料が0円で、維持にコストがかからない。アプリやWebの「認証に使うSMSも届く」ため、普段使いの電話番号として各種サービスに登録がしやすい。KDDI側の利益につながりづらい使い方で、維持にもコストはかかるものの、「今後、日本人がグローバルに出ていくことがますます活発になるのを祈念し、そういう方々の後押しになればと思って導入した」といい、採算を度外視していることがうかがえる。
一方で、povo2.0は季節ごとのイベントに合わせた期間限定トッピングをタイムリーに投入することで、ユーザーの利用シーンに寄り添っている。特定の店舗や商品を購入するとクーポンがもらえる「ギガ活」も、povo2.0ならではの取り組みだ。国際ローミングでもこのコンセプトは踏襲しており、「どういう使われ方をするのかはこの後も見て、(トッピングは)変えていく」という。現状のトッピングは、第1弾のベースとなるサービスと捉えておいた方がいいだろう。
データ容量が少ないという声が多ければ、より大容量のトッピングが増える可能性はある。秋山氏も、「コストがそこまで高くないところは、(大容量や無制限を)考えてもいい」と語る。オリンピックやワールドカップのような国際イベントに合わせ、開催国に限定した期間限定のトッピングを投入するといったこともあり得そうだ。こうした柔軟な運営ができるのが、povo2.0の魅力だ。
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