通信品質の低下に対して、ドコモでは短期的な対策として「エリアチューニング」を順次実施している。具体的には、以下の調整を行っているという。
並行して、特に混雑の激しいエリアについては、以下の取り組みも進めている。
7月28日に発表された都内の4カ所における状況は取り組みの先行事例として公表したもので、全国の混雑エリアでも実施中か、今後実施するという。
通常、通信品質の確認はトラフィックのモニタリングで済ませ、改善策はモニタリング結果からのシミュレーションで検討することが多い。しかし、今回の都内4カ所における取り組みでは、人的リソースを割いて現地調査を組み入れつつ、品質改善サイクルを最大で90%ほど高速化したという。
基地局の新設/設備追加の計画については、一番早いもので約3カ月ほど前倒しできたという。
これらの取り組みの結果は、7月28日の発表にあった通りである。渋谷駅のハチ公口周辺については、混雑時における4G通信のスループット(実効通信速度)が対策前の最大10倍(下り10Mbps以上)に改善された。
「え、10Mbpsで改善なの?」と思うかもしれないが、ドコモでは「混雑時でも動画ストリーミングサービス(YouTubeやNetflix)を問題なく楽しめるレベルにすること」を目標としたので、10Mbpsも出れば十分に“達成”といえる状況にはある。
「たった10Mbpsじゃあなぁ……」と言いたくなる気持ちもあるが、品質改善の“副作用”を織り込んで達成した目標だと知ると見方が変わる。というのも、基地局側でバンドの分散制御を行うと、特にキャリアアグリゲーション(CA)に対応する端末ではピークスループットが低下しやすくなるのだ。
今回は「ピークスループットよりも多くのユーザーが安定して通信できることを優先する」という前提で、4Gでは下り10Mbps以上のスループットを確保した。そういう意味では、頑張っているという見方もできる。
同社は「これで改善が終わりとは思っていない」としており、安定した通信を前提として、さらにスループットを改善できるよう取り組んでいくという。さらなる品質改善に期待したい。
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