既報の通り、NTTドコモは7月28日、東京都内の4エリアにおける通信品質の改善状況を明らかにした。
同社は8月2日、報道関係者に本件に関する説明を行った。なぜ通信品質は悪化し、それに対してどのような対策を講じるのだろうか。
ドコモは5G(5G NR)と4G(LTE)のネットワークについて、人流の変化やトラフィック(総通信量)を予測して機器類の増設/更新を随時行っているという。
5Gの通信エリアは新規に割り当てられた帯域(3.7GHz帯/4.5GHz帯)を中心に据えて整備を行い、通信容量が求められる場所はミリ波(28GHz帯)も併用する考え方に立っている。これらの帯域を使った5Gを、同社では「瞬速5G」と銘打って強めにアピールしている。
一方で、同社は4G用帯域(2GHz帯など)からの転用した5G(いわゆる「転用5G」の展開には消極的な傾向にある。これは転用5Gには通信速度を改善する効果がないためである。
同社の5G向け料金プランには「5Gギガホ プレミア」や「eximo」など、月間容量無制限のものも存在する(eximoは月間3GB超の通信をした場合)。これらのプランに加え、5G/4Gネットワークを使う固定通信サービス「home 5G」を提供し始めたこともあり、同社のトラフィック(通信総量)は確実に増え続けている。そのこともあり、同社は重い腰を上げて、転用5Gの展開も開始している。
先述の通り、ドコモは人流の変化やトラフィックの変化を予測して機器類の増設/更新を行ってきた。しかし、いわゆる「アフターコロナ」の人流の変化が予想以上に激しかったゆえに、人口密集地(≒端末が混み合う場所)におけるトラフィック対策が追いつかない状況になってしまった。
そこに、人口密集地における“再開発”が追い打ちを掛けた。再開発による基地局の撤去や基地局のエリアカバーの変動が、余計に品質の悪化を招いてしまったのだ。
さらに、端末が“つながりやすい”周波数帯(バンド)に集中してしまうという問題も発生している。1つの基地局が収容できる(≒同時に通信できる)端末の台数は限られており、複数の帯域があり、かつ分散してつながれば収容台数は増やせる。しかし、特定の帯域にアクセスが集中してしまったら意味はない。
このようにして、ドコモの通信品質は悪化してしまった……のだが、想像以上に場所による差が大きい。ネットワーク全体が混み合っているのなら、全国どこでも同じように遅くなるのだが、今回の品質低下は「特定エリアの基地局における混雑」でしかないので、同じ時間帯でも場所が変わるだけで「全然通信できない!」と「めっちゃ速い!」という両極端な状況が生じやすい。
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