Y!mobile新料金プランで「値上げをした意識はあまりない」 ソフトバンク寺尾氏が語る狙い(3/3 ページ)

» 2023年08月25日 06時00分 公開
[石井徹ITmedia]
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Y!mobileは「キャズムを超えた」、LINEMOは「新しい取り組みをいち早く試みる場」

―― 発表会ではユーザー満足度を追求する方針を説明されていました。

寺尾氏 NPSスコアの向上を、事業運営上の重要な指標としています。X(旧Twitter)のつぶやきや、カスタマーセンターに寄せられるお客さんの声を1つ1つ分析して、改善するべき点を洗い出しています。結果して、今日までに3400件をコツコツと改善してきました。

 取り組みの一例に店舗業務のオンライン化です。Y!mobileでは店舗業務を100%オンラインでも実現できるようにしようと、取り組みを進めています。リーズナブルな料金としっかりとしたサービス品質を確保しつつ、オンライン化によって費用効率を改善しようという狙いがあります。

 現状の達成率は98〜99%で、2023年度中には全ての業務をオンライン化できるめどが見えてきました。

 一方で、オンラインで手続きがしやすくなると、ユーザーさんの流動性が高まります。今はお客さんもプラン選びに非常に慣れていらっしゃるし、僕らは逆に、お客さんに満足してもらえるように、サービス改善を頑張っています。

―― オンライン対応が進むと、ソフトバンクからY!mobileやLINEMOへ移行するユーザーが増えていませんか。

寺尾氏 いらっしゃいますね。Y!mobileやLINEMOへのブランド間移動がゴロゴロ起きています。ただし、現在はお客さんにとってのインセンティブはないので、実際に行ったり来たりするような方はそこまで多くはないですね。

 先ほど家族割引の話がありましたが、LINEMOは固定セットや家族割引などが一切なしで、同じ値段で提供しています。利用状況に合わせて選んでいただけると考えています。

ymobile ソフトバンクはソフトバンク、Y!mobile、LINEMOの3プランを展開するマルチブランド戦略を取っている

―― 今回の発表はY!mobileのプランだけでしたが、ソフトバンクのプランはどうしますか?

寺尾氏 もちろん、いろいろと考えはあります。ですがこの場ではお伝えできません。

 発表会でお伝えしたように、ソフトバンク、Y!mobile、LINEMOの3ブランドの体制は今後も継続します。ソフトバンクは大容量でPayPayが一番とお得に使えるブランドとして、Y!mobileは中〜低容量帯をリーズナブルな料金で提供するブランド、LINEMOはオンライン専用のブランドとして、それぞれの特性を出し分けながら提供していきます。

―― 3ブランドの中でも、Y!mobileは好調に見えます。先日の決算説明会でもY!mobileが非常に強いと紹介されていました。

寺尾氏 ある種、キャズムを超えたのではないかなと思っています。Y!mobileの累計契約数は昨年度(2022年度)末で1000万を突破しました。学生さんなら、クラスで4〜5人は使っているという状況ですね。もちろん、お店の獲得力が強いのが前提ですが、こういう状態になると、爆発的にユーザーが拡大していくんです。

【訂正:2023年9月1日23時30分 初出時、Y!mobileの累計契約数について「昨年(2022年)末で1000万を突破」としていましたが、寺尾氏の発言に誤りがあり、正しくは「昨年度(2022年度)末で1000万を突破」でしたので、訂正いたしました。】

 昔ウィルコムという会社を運営していたときに、「コムする」という流行語を作りだして、若い人達に使っていただいたことがありました。あの時もクラスで4〜5人契約している状態から、普及が爆発的に加速しました。

ymobile

―― Y!mobileがある中で、オンライン限定のLINEMOを別に展開する意義はあるのでしょうか。

寺尾氏 サービス設計の観点からお答えすると、LINEMOはすごくアジャイルな開発ができるんです。Y!mobileはユーザーの声を分析して1つ1つサービスを改善していますと申し上げましたが、実はその大部分はLINEMOから始めています。というのも、LINEMOはオンライン販売に特化したプランですから、実店舗との調整を行う必要がないからです。

 例えば「eSIM」のようなサービスは、実際の環境で提供しながら問題点を把握していく必要がありました。そこでLINEMOで先行導入して、本格展開に向けた知見を積みました。LINEMOはいわば新サービスのネタ探しの場といいますか、新しい取り組みをいち早く試みる場として大切にしています。

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