ソニーが「Xperia 5 V」を大きく方向転換した理由 “小さいやつ”以上のストーリーをプラス(1/3 ページ)

» 2023年10月19日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]
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 ソニーは、10月13日に発売された「Xperia 5 V」で、Xperia 5シリーズの方向性を大きく転換した。2019年の「Xperia 1」でラインアップをリニューアルしたソニーだが、Xperia 5は小型でハイエンドという位置付けのモデルとして継続してきた。カメラやプロセッサといったスマートフォンの要ともいえる機能は、最上位モデルのXperia 1と同じ。ディスプレイとそれに伴うボディーのサイズがコンパクトというのが、Xperia 5シリーズの主な特徴だった。

Xperia 5 V 従来の「小型ハイエンド」からコンセプトを変えた「Xperia 5 V」

 Xperia 5 Vも、メインとなる広角カメラのセンサーに2層トランジスタ画素積層型CMOSの「Exmor T for mobile」を採用しており、この点は既存のXperia 5と変わっていない。一方で、望遠カメラを廃し、簡単なビデオ編集を可能にする「Video Creator」アプリを内蔵するなど、Xperia 1との差分も増えている。それ以上に大きな変化は、Webなどのビジュアルが、かつてないほどカジュアルでポップな印象になっていることだ。

 メインターゲットを若年層に据え、キャッチコピーも感覚に訴えるようなものが多くなった。もちろん、これは技術の裏打ちがあってこそだが、これまでのXperia 5とはイメージが大きく違うことは確かだ。では、なぜソニーはXperia 5 Vで既存のコンセプトからの脱却を図ろうとしているのか。同社で共創戦略推進部門 モバイルコミュニケーション商品企画部 統括部長を務める越智龍氏にお話を聞いた。

Xperia 5 V ソニーの製品ページでは若者を意識したメッセージを発信している

これまでのXperia 5シリーズは“顔“が見えづらかった

―― これまでのXperia 5は、「小型ハイエンド」というイメージが強かったと思います。なぜ今回は、若者向けを全面に打ち出しているのでしょうか。製品コンセプトも変わったという理解でよろしいのでしょうか。

越智氏 Xperia 1のお客さまは、一言で言うと「一番いいやつ」を求める方です。その期待に応えるため、撮影とオーディオビジュアルのところ、さらにXperia 1になってからはゲームにも注力しています。ゲームに関しては、先日も東京ゲームショウに出展しましたが、プロのプレイヤーと一緒になって機能開発をしてきました。この機能がどこまで進化したかという話をすれば、分かって買ってくれる方にご愛顧いただいています。

 一方で、Xperia 5はパネルが単に小さくなったということで、顔が見えづらかった。前のモデルまでは、年齢の高い人から若い人まで満遍なく取れていたのですが、誰がメインになるかを定めていませんでした。それを定めていなかったために、年によって今回はXperia 1、今回はXperia 5というように、お客さまに判断を委ねてしまっていました。ただ、今はマーケットが縮小しています。その中では“顔立ち”をはっきりさせることを大事にしたい。モノの作り方やメッセージを定め、出し方を変えることにしました。

 それによって、Xperia 1 Vとの違いも出ています。若年層に秒間20フレームでAF/AEを追従するといってもピンとこない。そもそもフォーカスという言葉もそうで、ピントという言い方をすればギリギリ伝わる。周りがiPhoneしか使っていない中、その他の選択肢があることを認知していただくために、1ページ目からカラフルで、今までとは違うトーンをマーケティングとして打ち出しました。伝え方も、機能ではなく体感ベースにしています。この体験がこんなによくなるというメッセージの出し方をしています。

Xperia 5 V ソニーの共創戦略推進部門 モバイルコミュニケーション商品企画部 統括部長を務める越智龍氏

カメラのレンズをXperia 1 Vの3つから2つに減らした理由

―― それは、あくまでマーケティングだけの話なのでしょうか。端末の企画や機能も変えたのでしょうか。

越智氏 大きいのは生活の中にどうなじむかで、(若年層は)それが選択の上位に来ます。例えばXperia 1はカラーもシックで大人な色合いにしています。Xperia 1 Vはブラック、プラチナシルバーとSIMフリー(オープンマーケット)限定でカーキグリーンがありますが、Xperia 5 Vはブラック、プラチナシルバーに加えてブルーも用意しています。顔立ちをはっきりさせるという意味で、同じような見栄えだと響かないので、ああいったカラーバリエーションになりました。

 中身で大きいのは、レンズです。 今までのXperia 5には、3つのレンズが入っていましたが、Xperia 5 Vは2つです。まだ(Xperiaのことを)知らない人が多く、買ってくれた際にイマイチだと二度と戻ってきてくれないセンシティブな層です。逆に、使ってくれれば口コミを期待できます。そのため、広角には一番上のXperia 1 Vと同じExmor T for mobileを採用しました。Xperia 5は13万円ぐらいですが、そこにこれを詰め込む。一方で、どこかを妥協する必要があるので、メリハリをつけました。

Xperia 5 V アウトカメラは望遠のない2眼構成になった

 買っていただいたとき、暗くなったとたんに被写体の顔にノイズが乗るような体験だと、「やっぱりiPhoneでいいや」となってしまう。そこには妥協なく、利用頻度の高い広角に最もコストをかけ、Exmor T for mobileを入れています。暗いところでかつ人を入れた夜景や、屋内も意外と照度が低いのでスマホだとノイズが乗りやすい。パッと撮って拡大したらノイズがあるので、人に送るのはやめたという声もあります。

 ソフト面では、Video Creatorをこのモデルから入れています。このアプリも、Xperia 5 Vに向けて開発時期を定めていました。写真や動画を撮ってはみたものの、みんながみんな、アプリを入れて編集までできるわけではありません。使ってみたが時間がなかったり、手順が複雑だったりで諦めたりした方もいます。やりたいと思っても、次に何をすればいいのかが分からない。調査した中でも、60%ぐらいの方が、いい感じに動画を編集できる簡単なツールがないと答えていました。

 世の中にはさまざまな編集ソフトがあります。ただ、ある程度センスがあれば人とかぶらないようにできますが、そこまでできない人も多い。これとこれを選んで時間を30秒と決めたら終わりというものをやろうと思いました。もっと凝ったことがやりたければ、どうぞ次に行ってくださいと考えています。そこまでのつなぎをやろうというのが、Video Creatorです。

Xperia 5 V 手軽に動画編集ができる「Video Creator」をプリインストールしている
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