NUROモバイルが新料金「VLLプラン」「かけ放題ジャスト」を提供する狙い 他社よりもお得?石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2023年11月04日 10時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 コストパフォーマンスに優れた「バリュープラス」や、通信品質を重視した「NEOプラン」の狙いが当たり、着実にシェアを伸ばしているソニーネットワークコミュニケーションズのNUROモバイル。累計加入者数は、2年半で約3倍まで増加した。そんなNUROモバイルが、大きく分けて2つの新料金プランを導入する。バリュープラスの最上位プランとして展開する「VLLプラン」が、その1つだ。

 もう1つは、音声通話を重視した「かけ放題ジャスト」。こちらは通話定額と1GBのデータ容量がセットになった料金プランで、通話が無料になる時間で「5分かけ放題プラン」と「10分かけ放題プラン」に分かれる。では、なぜNUROモバイルはこのタイミングで料金プランの追加に踏み切ったのか。ここでは、新料金プランの中身を解説するとともに、同社の狙いを読み解いていきたい。

NUROモバイル NUROモバイルは、バリュープラスの新料金となるVLLプランと、かけ放題ジャストを発表した

新料金でユーザー数大幅増のNUROモバイル、新プランはトラフィック増加に対応

 NUROモバイルが好調だ。契約者数は、30カ月連続で純増を記録。2021年3月末から、累計加入者数は3倍に伸びた。2021年は、大手キャリアが料金値下げに踏み切った1年。オンライン専用料金プラン/ブランドの導入や、サブブランドの値下げがあり、料金の安さを売りにしていたMVNOの苦戦も予想されていた。一方で、基本料や接続料が値下げされたことに伴い、MVNOも対抗策に打って出ている。NUROモバイルが2021年4月に投入したバリュープラスは、そんな料金プランの1つだ。

NUROモバイル 21年の新料金プラン導入以降、契約者数の伸びが顕著になった。当時と比べ、累計加入者数は3倍に増加している

 バリュープラスは、低容量、低価格が特徴の料金プラン。これまでは3GBのVSプラン、5GBのVMプラン、10GBのVLプランの3つに分かれており、VMプラン以上は、3カ月に1回追加のデータ容量が付与される「Gigaプラス」に対応する。料金は、VSプランが792円(税込み、以下同)。余ったデータ容量の繰り越しや、家族、友人などにデータ容量を分け合う「パケットギフト」も利用できる。大手キャリアに対し、よりシンプルで安価な料金と利便性の高いサービスで対抗してきたといえる。

NUROモバイル 低価格を打ち出すバリュープラス。Gigaプラスなど、独自の仕組みも用意している

 バリュープラスが大手キャリアの値下げ攻勢から生存領域の“守りを固めるための料金プランなのに対し、NUROモバイルは、大手キャリアの生存領域に“攻め”るプランも追加している。2021年11月に開始したNEOプランだ。NEOプランは中容量の料金プランで、バリュープラスと接続帯域を分けることで、通信品質を高めている。大手キャリアのオンラインプラン/ブランドよりやや安めの価格設定や、SNSなどの通信量をカウントしない「NEOデータフリー」などのサービスで差別化を図っている。

NUROモバイル NEOプランは、20GBのNEOプランとデータ容量を倍増した「NEOプランW」の2本立て

 NUROモバイルの契約者数が大きく伸び始めたのは、この2つの料金プランを導入してからだ。ソニーネットワークコミュニケーションズのMVNO事業室 室長の田中直樹氏は、「NUROモバイルは好調」としながら、「その原動力になったのがバリュープラスとNEOプラン」だと語る。バリュープラスは料金やシンプルさへの評価が高く、NEOプランはキャッシュバックキャンペーンを除くと、料金や通信品質が選択の決め手になっていることがうかがえる。

NUROモバイル 「NUROモバイルは好調」と語る、ソニーネットワークコミュニケーションズの田中氏

 一方で、そのユーザーの利用動向は徐々に変化してきた。それを示すのが、バリュープラスのプラン選択状況だ。田中氏によると、当初は約7割のユーザーが3GBとデータ容量が最小のVSプランを選択していたが、徐々に10GBのVLプランが増加。2023年には、その比率が2割にもなったという。田中氏は、「コンテンツのリッチ化が進み、生活様式が変化することでお客さまのニーズが少しずつ変わってきたのではないか」と推測する。

NUROモバイル 申し込み比率の推移。当初は3GBのVSプランが大半だったが、直近ではVMプランやVLプランの割合が増えていることが分かる

 実際、5Gの普及や端末の高機能化、コンテンツのリッチ化に加え、コロナ禍の行動制限が撤廃されたことで、各社ともトラフィックは増加している。MVNOも、例外ではない。NUROモバイルでは、NEOプラン側にデータ容量を2倍の40GBに増やしたNEOプランWを導入しているが、その申し込み比率も「徐々に増加している」(同)という。ただ、バリュープラス側はVLプランの10GBまでで、NEOプランの20GBとの間には開きもあった。その間を埋めるのが、新料金プランのVLLプランだ。

NUROモバイル NEOプランも、40GBのNEOプランWの割合が徐々に増加している
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