NUROモバイルが新料金「VLLプラン」「かけ放題ジャスト」を提供する狙い 他社よりもお得?石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2023年11月04日 10時00分 公開
[石野純也ITmedia]

バリュープラスとNEOプランの架け橋になるVLLプラン、他社対抗も意識か

 VLLプランは、データ容量をVLプランの1.5倍にあたる15GBに設定。料金は1790円になる。3カ月に1回付与されるGigaプラスは9GB。この追加容量を1カ月にならすと3GBになり、3カ月目以降は実質的に18GBの料金プランになる。VLプランはGigaプラスが6GBで実質12GBプランだったため、6GBが増量された格好だ。1485円のVLプランとの差額は305円になる。「データ繰越」「バリューデータフリー」「低速ON/OFF」といった機能も、そのまま受け継がれている。

NUROモバイル バリュープラスに、データ容量15GBのVLLプランを追加した

 実質的なデータ容量はNEOプランの20GBに近いが、専用帯域を通らず、バリュープラスとして運用されている点が大きな違いだ。特定のコンテンツの通信を通信量のカウントから除外するゼロレーティングサービスもバリューデータフリーになるため、LINEの一部機能のみ。LINEに加え、X(旧Twitter)やInstagram、TikTokが対象になるNEOプランのNEOデータフリーと比べると、ノーカウントになる通信は少ない。上りの通信が無制限になる「上げ放題」にも非対応。帯域だけでなく、これらのサービスでもNEOプランとは差別化を図っている。

 あくまで「VLLプランは月額料金を抑えたい人に向け提供するプラン」(同)。より高い通信品質を求め、大手キャリアのオンライン専用プランに近い料金体系を許容するユーザーに向けたNEOプランとは、この点が大きな違いといえる。NUROモバイルは5月に「NEOプランLite」の新規申し込みを終了していたが、振り返ってみると、これもVLLプラン導入の布石だった。

NUROモバイル 22年4月に導入されたNEOプランLiteだが、わずか1年強で新規申し込みを終了してしまった。NEOプランとしての特徴を打ち出しづらかったようだ

 NEOプランLiteは、NEOデータフリーや上げ放題をなくし、料金を抑えたプラン。データ容量はNEOプランと同じ20GBで、専用帯域も利用する。料金は2090円だったが、VLLプランの1790円との差は非常に小さい。「NEOデータフリーや上げ放題がついていなかったので、NEOプランとして統一感を取る意味で終了した」(同)というが、その理由だ。ただ、20GB前後の安価な料金プランに対するニーズ自体がなかったわけではない。こうした点を踏まえると、VLLプランを導入した背景の解像度が上がってくる。

 MVNO各社も徐々に中容量プランを拡充しているが、VLLプランは、こうした料金プランと比べても競争力があるように設計されている。例えば、MVNOトップシェアのIIJmioは、15GBプランが1800円。NUROモバイルのVLLプランは、同容量で10円料金が安く、バリューデータフリーやGigaプラスで使えるデータ容量は多くなる。mineoは、10GBプランが1958円だ。シェア上位のMVNOと比べ、費用対効果を高くしていることがうかがえる。こうした料金設計は、NUROモバイルが純増を続けている理由の1つといえる。

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