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JR東日本が首都圏の「普通列車グリーン券」の料金体系を見直し 2024年3月16日から

» 2023年12月15日 20時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 JR東日本(東日本旅客鉄道)は2024年3月16日から、首都圏の「普通列車グリーン券」の料金体系を見直す。従来は利用日と購入タイミングによって分けていた料金を、交通系ICカードの利用を促す観点からグリーン券の種類(媒体)によって分けるように変更する他、距離の区分けを2段階から3段階とする

普通列車用グリーン券 首都圏エリアの普通列車用グリーン券用料金が適用される線区

見直しの概要

 首都圏の普通列車用グリーン券の料金体系は、JRグループにおける通常の普通列車用グリーン券とは異なる料金体系を取っている。具体的には「利用日(平日か休日か)」「事前購入の有無(※1)」「距離」の3つから料金を算出する。現状の料金は以下の通りだ(事前購入していない場合は、下記料金に260円を加算する)。

  • 平日料金(平日に乗車した場合の料金)
    • 50kmまで:780円
    • 51km以上:1000円
  • ホリデー料金(土曜日/日曜日/休日に乗車した場合の料金)
    • 50kmまで:580円
    • 51km以上:800円

(※1)「モバイルSuica」アプリで購入する場合は「モバイルグリーン料金」を適用する(事前料金と同額)

現行 首都圏の普通列車用グリーン券の現行料金体系(モバイルSuicaアプリで購入した場合は事前料金と同額)

 2024年3月16日(JRグループのダイヤ改正日)以降は、事前購入時より割高な「車内料金」を廃止した上で、グリーン券をきっぷとして購入した場合の「通常料金」と、Suica(※2)で購入した場合の「Suicaグリーン料金」を設定し、距離区分に「101km以上」を追加して料金を3段階とする。ダイヤ改正日以降の料金は以下の通りだ。

  • 通常料金(自動券売機やみどりの窓口できっぷとして購入した場合の料金)
    • 50kmまで:1010円
    • 51km以上100kmまで:1260円
    • 101km以上:1810円
  • Suicaグリーン料金(SuicaまたはモバイルSuicaで利用する場合の料金)
    • 50kmまで:750円
    • 51km以上100kmまで:1000円
    • 101km以上:1550円

(※2)PASMO、Kitaca、TOICAを含む(PASMOは「モバイルPASMO」「Apple PayのPASMO」を除く、以下同)

新料金 首都圏の普通列車用グリーン券の2024年3月16日以降の料金体系

JR東海エリアに関する取り扱い

 首都圏の普通列車用グリーン券の料金体系は、JR東海(東海旅客鉄道)が管轄する東海道線の熱海〜沼津間の乗車にも適用される。これは料金体系の見直し後も同様だ。

 従来、JR東海エリアで完結する乗車、あるいはJR東日本エリアとJR東海エリアをまたぐ乗車をする場合はグリーン券を紙で発券する必要があったが、新しい料金体系では紙のグリーン券とSuicaグリーン券との間に少なくない料金差が生じる

 このことから、ダイヤ改正日以降、JR東海エリアが絡む乗車についてSuicaグリーン券の取り扱いを以下の通り変更する。

JR東海エリア(熱海〜沼津間)で完結する場合

 JR東海エリアで完結する形で乗車する場合は、従来通りSuicaグリーン券には対応しない。自動券売機やみどりの窓口で、紙のグリーン券を購入する必要がある。

 この場合、グリーン料金は乗車距離を問わず750円となる。

JR東日本エリア(湯河原以遠)からJR東海エリアに乗り越す場合

 カードタイプのSuicaにグリーン券を発券した場合に限り、JR東海エリアまでの乗車が認められるようになる

 現在、JR東日本エリアの自動券売機や「Suicaグリーン券専用発券機」でSuicaグリーン券を購入しようとするとJR東海エリアを着駅として指定できない。しかし、JR東日本のコーポレートコミュニケーション(CC)部によると、ダイヤ改正日以降はJR東海エリアの「函南」「三島」「沼津」の選択肢が追加されるという。

 なお、SuicaをICカード乗車券として使う場合、JR東日本エリアとJR東海エリアをまたぐ乗車はできないため(※3)、あくまでもエリアをまたげるのはSuicaグリーン券のみなので注意しよう。

(※3)カードタイプのSuica/TOICAによる定期券については、定期券の有効区間に限りエリアをまたぐ乗車が可能

グリーン券発券機 JR東日本の首都圏普通列車用グリーン券対応エリアの駅のホームに設置されている「Suicaグリーン券専用発券機」だが、ダイヤ改正日以降はJR東海エリアの駅を着駅として指定できるようになる

 一方で、モバイルSuicaアプリではJR東海エリアの駅を着駅とするグリーン券は購入できない。これは「主にモバイルSuicaのシステム面の都合」(CC部)によるものだが、「対応は未定」(同)だ。

 モバイルSuicaユーザーが普通列車グリーン車でJR東日本エリアからJR東海エリアに乗り越す場合は、カードタイプのSuicaを用意してSuicaグリーン券を購入するか、事前に紙のグリーン券を購入しておく必要がある。

モバイルSuica システム面の都合から、モバイルSuicaアプリではJR東日本エリアからJR東海エリアへとまたぐグリーン券の購入に対応しない

JR東海エリアからJR東日本エリア(湯河原以遠)に乗り越す場合

 基本は紙のグリーン券での乗車となるが、SuicaまたはモバイルSuicaを所持している場合は、Suicaグリーン料金でグリーン車を利用できる。Suicaグリーン料金での乗車を希望する場合は、事前にグリーン券を購入せず、熱海駅を発車してから(≒JR東日本エリアに入ってから)グリーンアテンダントに乗車駅と降車駅を申告しよう。

 なお、このパターンではモバイルSuicaも対応可能だ。

宇都宮行き JR東海エリアからJR東日本エリアに乗り入れる普通列車のグリーン車に乗車する場合、熱海駅の発車以降のタイミングでグリーンアテンダント(グリーン車専属の係員)にグリーン車の乗車駅と降車駅を申告すると、Suicaグリーン料金を適用できる。この場合、グリーン券は事前に購入しないでおこう
余談 余談だが、一番距離が長い首都圏の普通列車用グリーン券は「高萩(茨城県高萩市)〜沼津(静岡県沼津市)」の294.5kmとなる。一方で首都圏の普通列車グリーン車で一番長い距離を走るのは「沼津〜宇都宮(栃木県宇都宮市)」の235.7kmだ(写真の列車)

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