JR東日本(東日本旅客鉄道)は2024年3月16日から、首都圏の「普通列車グリーン券」の料金体系を見直す。従来は利用日と購入タイミングによって分けていた料金を、交通系ICカードの利用を促す観点からグリーン券の種類(媒体)によって分けるように変更する他、距離の区分けを2段階から3段階とする。
首都圏の普通列車用グリーン券の料金体系は、JRグループにおける通常の普通列車用グリーン券とは異なる料金体系を取っている。具体的には「利用日(平日か休日か)」「事前購入の有無(※1)」「距離」の3つから料金を算出する。現状の料金は以下の通りだ(事前購入していない場合は、下記料金に260円を加算する)。
(※1)「モバイルSuica」アプリで購入する場合は「モバイルグリーン料金」を適用する(事前料金と同額)
2024年3月16日(JRグループのダイヤ改正日)以降は、事前購入時より割高な「車内料金」を廃止した上で、グリーン券をきっぷとして購入した場合の「通常料金」と、Suica(※2)で購入した場合の「Suicaグリーン料金」を設定し、距離区分に「101km以上」を追加して料金を3段階とする。ダイヤ改正日以降の料金は以下の通りだ。
(※2)PASMO、Kitaca、TOICAを含む(PASMOは「モバイルPASMO」「Apple PayのPASMO」を除く、以下同)
首都圏の普通列車用グリーン券の料金体系は、JR東海(東海旅客鉄道)が管轄する東海道線の熱海〜沼津間の乗車にも適用される。これは料金体系の見直し後も同様だ。
従来、JR東海エリアで完結する乗車、あるいはJR東日本エリアとJR東海エリアをまたぐ乗車をする場合はグリーン券を紙で発券する必要があったが、新しい料金体系では紙のグリーン券とSuicaグリーン券との間に少なくない料金差が生じる。
このことから、ダイヤ改正日以降、JR東海エリアが絡む乗車についてSuicaグリーン券の取り扱いを以下の通り変更する。
JR東海エリアで完結する形で乗車する場合は、従来通りSuicaグリーン券には対応しない。自動券売機やみどりの窓口で、紙のグリーン券を購入する必要がある。
この場合、グリーン料金は乗車距離を問わず750円となる。
カードタイプのSuicaにグリーン券を発券した場合に限り、JR東海エリアまでの乗車が認められるようになる。
現在、JR東日本エリアの自動券売機や「Suicaグリーン券専用発券機」でSuicaグリーン券を購入しようとするとJR東海エリアを着駅として指定できない。しかし、JR東日本のコーポレートコミュニケーション(CC)部によると、ダイヤ改正日以降はJR東海エリアの「函南」「三島」「沼津」の選択肢が追加されるという。
なお、SuicaをICカード乗車券として使う場合、JR東日本エリアとJR東海エリアをまたぐ乗車はできないため(※3)、あくまでもエリアをまたげるのはSuicaグリーン券のみなので注意しよう。
(※3)カードタイプのSuica/TOICAによる定期券については、定期券の有効区間に限りエリアをまたぐ乗車が可能
一方で、モバイルSuicaアプリではJR東海エリアの駅を着駅とするグリーン券は購入できない。これは「主にモバイルSuicaのシステム面の都合」(CC部)によるものだが、「対応は未定」(同)だ。
モバイルSuicaユーザーが普通列車グリーン車でJR東日本エリアからJR東海エリアに乗り越す場合は、カードタイプのSuicaを用意してSuicaグリーン券を購入するか、事前に紙のグリーン券を購入しておく必要がある。
基本は紙のグリーン券での乗車となるが、SuicaまたはモバイルSuicaを所持している場合は、Suicaグリーン料金でグリーン車を利用できる。Suicaグリーン料金での乗車を希望する場合は、事前にグリーン券を購入せず、熱海駅を発車してから(≒JR東日本エリアに入ってから)グリーンアテンダントに乗車駅と降車駅を申告しよう。
なお、このパターンではモバイルSuicaも対応可能だ。
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