日本通信が“安すぎる”30GBプラン提供に踏み切った背景 福田社長「反響すごかった」MVNOに聞く(3/3 ページ)

» 2023年12月20日 10時48分 公開
[石野純也ITmedia]
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ドコモの通信品質低下の影響は「法人ではあった」

―― ドコモの通信品質低下が問題になっていますが、日本通信への影響は何かありましたか。

福田氏 法人ではありましたね。ドコモがいいと契約していた方々の一部が、ソフトバンクに乗り換えています。コンシューマーは分からないですが、日本通信SIMからソフトバンク回線のSIMに行くと料金が上がってしまいます。(MNOの)ソフトバンク、ワイモバイルに行かれる方も、ゼロではないと思います。

―― 日本通信にはソフトバンク回線を使ったサービスもありますが、日本通信SIMをソフトバンク回線にも対応させるご予定はありますか。

福田氏 それは、音声の関する卸価格が正常化しないとできません。われわれからすると今はいびつな状態で、同じ料金で出すことはできないですね。

―― ドコモに対してやったように、総務大臣裁定を求めて卸価格を下げてもらう手もあるかと思います。

福田氏 求めにいってもいいのですが、当面はやりません。今はドコモで(サービスが)できているのが1つ。昔はiPhoneにSIMロックがかかっていたので(ソフトバンク回線の)需要が高かったのですが、今、その影響はほとんどなくなりました。そこまでして追いかけなくてもいいというのが本音です。ドコモへの音声接続申し入れもしているので、まずはそれを追求していきます。その上で余力があればやらないことはないですが、今はそのインセンティブがありません。ただ、とっぴなニーズが出てくれば、サッとやるかもしれません(笑)。昔、「Pokemon GO」用の「ゲームSIM」をやったぐらいですから。

取材を終えて:ドコモ回線以外の選択肢にも期待したい

 日本通信が合理的30GBプランを投入したのは、ラインアップの整理と増加するデータトラフィックに対する打ち手という意味合いがある。数年先の増加分まで見越した改定のため、しばらくは、3本柱の料金プランを打ち出していくようだ。30GBで2178円という料金は競合他社と比べても安く、競争力が高い。福田氏が「バランス」を強調していたように、法人事業も伸びているからこそ、このような料金プランの導入が可能になったという。

 前提には、総務大臣裁定を勝ち取り、ドコモの卸価格を値下げできたことがある。一方で、そのドコモ回線の品質低下問題には、日本通信も頭を悩ませている様子がうかがえた。福田氏が語っていたように、法人の一部はソフトバンク回線に移っているという。ただ、コンシューマー向けの日本通信SIMは今のところほぼドコモ回線一択。日本通信は機動力の高さも売りなだけに、データ通信に特化したソフトバンク回線のSIMカードを強化するなど、何らかの対応を期待したい。

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