楽天モバイルは、最大で77局が影響。1日平均340人の体制で復旧に対応し、移動基地局40台、可搬型発電機48台を派遣。3日時点で最もサービス中断地域が多かったが、76局で対応が済み、輪島市の進入困難地域1箇所を除いて15日に応急復旧している。
被災者支援として、楽天モバイルの店舗や避難所などで無料充電、Wi-Fiルーターの貸し出し、災害時のフリーWi-Fiを提供。携帯電話本体の貸し出しも行っている。
また、石川県の対象地域のユーザーに対し、楽天モバイルの通信料金を3カ月間無料にすることを発表している。楽天モバイルMNOに加え、MVNOとして提供しているサービスのユーザー、法人も対象だ。
楽天サービスを介した募金活動を行っており、楽天ふるさと納税では11億円以上、楽天クラッチ募金では2億6000万円集まっている。
進入困難地域を除き、応急復旧した各社だが、本格的な復旧のめどは立っていない。
ドコモの小林氏は「停電の解消、伝送路の復旧をもって元の設備の状況に戻せると。電力会社や光回線提供事業者との連携、先方の対応状況に応じて、こちらも速やかに対応していく」としたが、(本復旧までは)「長期化するのではないかとは思っている」と語っている。
KDDIの山本氏も「正直、何カ月かかるのか分からない状況」述べた。
「実際に基地局の場所に行けていないので、基地局がどういう状態になっているのか分からない。倒壊している可能性もあれば、単純に停電になっているだけかもしれない。状況にもよるが、本復旧に向けて速やかに対応していきたい」(山本氏)
また、道路の寸断や渋滞などで対象地域に行くのに時間がかかり、復旧に時間がかかったことに対し、ドコモの小林氏は「もっと長期間もつバッテリーやStarlinkなどの衛星回線が備わっていれば、地上の回線が切れたとしても維持できるということをポイントに対策を考えていきたい」と語った。
現在、総務省で検討されている非常時における事業者間ローミングに対しては、各社とも「今回のように4社全てが一斉に被災するような状況では難しい」「大きな災害にも有効な運用を検討していく必要がある」との意見だった。
また、Starlinkのような衛星通信やHAPSが有効との見解でも一致していた。KDDIが2024年、当初はSMSに限られるがStarlinkの衛星とスマホとの直接通信を予定しており、楽天モバイルはAST SpaceMobileのシステムで、同様に直接通信の商用化を目指している。楽天モバイルの竹下氏は「商用化に向けて技術的、制度的側面から日本で導入できるように進めていきたい。こういった状況においては必ず役に立つものと考えている」と語っていた。今後、低軌道衛星通信の重要性が増していきそうだ。
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