2024年1月17日(現地時間)、サムスン電子はフラグシップスマートフォン「Galaxy S24シリーズ」を発表した。
今回、最大の特徴となるが「Galaxy AI」だ。これまでのクラウドベースの処理だけでなく、オンデバイスでのAI処理によって、従来では実現できなかった機能を搭載している。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2024年1月20日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
実際に使ってみて、驚き、感動したのが「音声通話での翻訳機能」だ。
音声通話において、こちらが日本語で話すと、ちょっと間が空いて、英語に翻訳してくれて、相手に伝えてくれるというものだ。もちろん、相手の英語も日本語に翻訳してくれる。
ただ、オンデバイスAIということで、言語には限界があるのか、残念ながら固有名詞が入ると、ちょっと厳しいものを感じた。
とはいえ、英語、日本語をはじめ13の言語に対応しているということで、英語圏以外で、レストランの予約をするといった場合にはとても重宝しそうだ。
Galaxy AIはサムスン電子だけの開発ではなく、クラウドベースのものはGoogle Cloudの「Gemini Pro」や「Imagen 2」を採用。オンデバイスに関してもGoogleの「Gemini Nano」を使っている。
今回、Galaxy S24シリーズの発表と同時にグーグルでは、写真や動画を線でかこうと、それが何なのかを調べて教えてくれる「かこって検索」という機能を発表している。
こちらはGalaxy S24シリーズとPixel 8とPixel 8 Proで対応するという。
サムスン電子としては仲のよいグーグルが持つAI技術を採用するというのは自然な事なのかも知れないが、そうなってしまうと、今後、PixelシリーズとのA機能による差別化が難しくなってくるのではないか。
GalaxyシリーズはこれまでマイクロソフトともPC連携などで上手にやってきた。
今後、Galaxy AIとしてAI機能を強化していくのであれば、グーグルではなく、マイクロソフトとの関係を深め、Copilotを全面的に押し出した方が、Pixelとの差別化ができたのではないだろうか。
マイクロソフトとしても、いまや同社を代表とするCopilotをもっとスマートフォン向けに強化したいはずだ。
アップルと販売台数で競り合っているサムスン電子のGalaxyシリーズにCopilotを搭載できれば、新たなビジネスチャンスも広がってくるのではないか。
その点、グーグルはうまいことサムスン電子を説得し、Galaxy AIに入り込んだのは見事だと言える。
マイクロソフトがスマーフォンの世界でCopilotを広めるためにOPPOやXiaomiと組みというのも何が違うような気がする。
逆にマイクロソフトがAIで弱いアップルと組んだら、スマートフォンにおけるオンデバイスAI競争はかなり面白いことになるのだが。
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