ジョルダンの「乗換案内」は、1993年の登場以来、モバイルファーストを貫いてきたサービスだ。フィーチャーフォンからスマホの時代への大転換で、移動のための情報検索の在り方が大きく変容した。そのダイナミズムの中で、同社はどのようにユーザーの声に応え続けてきたのか。ジョルダン 執行役員 営業技術部長の長岡豪氏と、運用部長の安田正治氏にお話を伺った。
―― まずは乗り換え案内が30周年を迎えられたということで、これまでの歩みを振り返っていただけますか。
安田氏 はい。乗り換え案内は1993年、まだインターネットが普及していない時代に誕生しました。当初はソニーの電子ブックプレイヤー「データディスクマン」向けに、首都圏の電車の乗換経路を収録した8センチのCD-ROMの形で提供を開始したのが始まりです。
その後1994年にはWindows 3.1向けに発売し、個人のPC上で動作するソフトウェアとして本格的に展開。1998年には時刻表まで出せるようになり、他社との差別化を図りました。同時期にインターネット版の公開も開始し、お試し版を無料で提供する一方、時刻表付きのパッケージソフトを購入いただくというビジネスモデルを確立しました。
※ジョルダン30周年記念サイト内の「乗換案内1993」で、当時の経路検索を体験できる
―― PCからケータイ、そしてスマートフォンへと、デバイスの変化に合わせてサービスを進化させてこられたわけですね。
安田氏 2000年前後は、各キャリアの公式サイトへの採用によって携帯電話での利用が急速に拡大しました。利便性の高い実用系サービスとして多くのユーザーに受け入れられ、知名度も上がりました。
携帯サイトでは、単なる経路検索だけでなく、花見や花火といった季節のお出かけ特集、駅弁の投稿コーナーなど、ユーザー参加型のコンテンツも充実させていきました。さらに、リアルタイム運行情報をみんなで共有する「ジョルダンライブ!」のようなサービスにも取り組み始めました。
―― リアルタイムに運行情報を共有する「ジョルダンライブ!」は当時としては画期的な試みだったのではないでしょうか。
安田氏 もともと各社の運行情報は、30分以上の遅れが出たときだけ出ていたので、それより小さな遅れは対応できていませんでした。でも利用者からは、何か問題が起きた瞬間から知りたいというニーズがあったんです。
そこで、ユーザー投稿を活用した「ジョルダンライブ!」の仕組みを整えました。遅れや運転見合わせの情報を即座に共有できるようになり、大変好評をいただいています。
ただ、フィーチャーフォン時代は、キャリアの公式サイトを通さないと、このようなリアルタイム性の高いサービスの提供が難しかったんです。規約上の制約もあって、思うようにはいかなかった面もありました。
―― キャリア主導のクローズドな環境だったために、サービス展開に一定の制約があったわけですね。
安田氏 が、2007年、ここでジョブズが電話を再定義してしました。
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