ジョルダンに聞く「乗換案内」30年の歩み 「iPhoneが新しい地平を開いてくれた」(3/4 ページ)

» 2024年03月19日 06時00分 公開
[石井徹ITmedia]

スマホで「今、ここから」の検索ニーズが高まった

―― iPhoneの登場で利用者の使い方はどのように変化したのでしょうか。

長岡氏 スマホの利用で、「今、ここから」の検索ニーズが高まりました。スマホの普及で利用シーンも広がりました。従来は目的地までの経路検索が中心でしたが、現在地からの検索ニーズが高まった。スマホはGPSを内蔵しているので、現在地を起点にしたルート検索が手軽にできる。これは、道に迷ったときのナビゲーションにも役立ちます。

―― 確かに、地図アプリを使って現在地からの経路を調べる機会は増えましたね。

安田氏 スマホでの事前検索も増加しています。例えば金曜日に土日の移動を検索されるんです。

―― 週末の予定を立てるときなどに、スマホで交通手段をチェックしておく、と。

長岡氏 そういうことです。移動の計画を立てるツールとしての利用が増えている。これは、フィーチャーフォン以前の、PCでの使われ方に近いんですが、それがスマホで手軽にできるようになった。

安田氏 また、興味深いところとしては、ここ2年ほど、毎朝同じルートを検索される方がスマホになってから特に目立つようになりました。私たちもなぜだろうかと理由を想像しているのですが、2022年に経路検索中に運行情報表示に対応したので、それを目当てに検索されているのかもしれません。

リアルタイム情報の拡充が進む

安田氏 最近問い合わせとして多いのが、「発着番線の情報を拡充してほしい」という要望です。スマホ以前のユーザーは、検索で駅と発車時刻だけ押さえて、駅では掲示板を見て発着番線を確認していました。今は駅に着いてからも駅の掲示を見ずに、スマホを確認して情報を得ているのかなと推測しています。

―― 言われてみれば、駅の掲示板を見る機会は減っていますね。

安田氏 駅の掲示板自体も削減されていますね。駅に据え付けの固定の時刻表は、コロナ禍を契機にだいぶ撤去されてしまいました。

 今は電光掲示板で発着情報を表示する方が主流になっていますが、駅の電光掲示板も数が多くなくて、ちゃんと必要な場所で確認しなければ、見つけられなくなってしまう。

 だから、今は電車に乗るときに、ひとまず乗換案内を見るというような使い方をする。人にもよると思うのですが、そういう方が増えているという印象はあります。

「乗換案内」の月別ユニークユーザーの推移 「乗換案内」の月別ユニークユーザーの推移。コロナ禍で大きく落ち込んでいるが、直近では回復基調にある。

 一方で、鉄道会社さんにも変化があります。ここ数年で、列車のリアルタイム運行情報を提供する動きが広がっています。乗換案内では、2022年にJR東日本、東京メトロ、都営地下鉄のリアルタイム運行情報に対応しました。

 これはスマホが普及したからこその変化といえますね。フィーチャーフォン以前の頃は、鉄道会社はデータ提供に消極的だったのですが、スマホという便利な端末があり、それが普及してみんなが使っているという状況になったからこそ、リアルタイムな運行状況を公開する機運が高まったのだろうと思います。

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