楽天ペイメントは2024年4月18日、共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」アプリと、キャッシュレス決済サービス「楽天ペイ」アプリを12月頃に統合すると発表した。合わせて、楽天モバイルとの連携強化に向けた施作なども明らかにした。同日、今後の戦略について、代表取締役社長の小林重信氏と、執行役員CMOの諸伏勇人氏が説明した。
2024年4月現在、楽天ペイアプリではQRコード決済の利用と、楽天ポイント付与の両方が可能だが、アプリ自体は個別に存在しているが、これまで「圧倒的にオープンな戦略で、決済サービスを提供してきた」(小林氏)としている。
あらゆる決済のフルデジタル化を推進するプラットフォームとして、既に「他社のクレジットカードの利用を可能にしており、ユーザーの利便性と楽天グループのあらゆるアセットが生むシナジー」(小林氏)が2023年12月の営業黒字化達成につながったという。
諸伏氏は「楽天ペイはさまざまなシーンにおいて、アプリ1つで楽天ポイントがたまる」点をアピールし、サービスのローンチ時から重視してきた世界観をこう振り返る。「楽天ペイは2016年10月にQRコード決済サービスとしてスタート。当初の加盟店は中小が中心だったが、楽天ペイを中心に広がるお得の世界観を実現させてきた」
その結果、月間取扱高は2023年3月から2024年3月にかけて76%成長し、業界平均は37%と2倍の速さで成長したという。新規ユーザーによるダウンロード数も増えたとのことで、既存ユーザーだけでなく新規獲得も着々と進んでいるようだ。「2023年度JCSI(日本版顧客満足度指数)調査」のQRコード決済業種では、「顧客満足」など主要6指標で1位を獲得し、「利用者の皆さまから高い評価を受けている」そうだ。
同社は、楽天ペイアプリを「楽天グループのフィンテックサービスの“入り口”(≒起点)」(小林氏)にし、その第1弾として、楽天ペイに全ての決済アプリを統合する。12月頃に楽天ペイと楽天ポイントが、その後、IC型電子マネー「楽天Edy」アプリが結合する。将来的には「楽天カードアプリ」の主要機能や、その他の楽天フィンテックサービスのアプリの機能も、楽天ペイアプリへの搭載予定という。
統合について、小林氏は「3年ほど前から検討してきた」といい、「年内をもって楽天ポイントアプリ、2025年に楽天Edyを楽天ペイアプリに移行させる」と具体的なスケジュール感を示した。その上で、「1つのアプリの方が利便性向上を図れ、利用者が楽天ペイアプリから多様なサービスや機能を発見しやすくなる」との考えを述べた。実際に「楽天ペイアプリでの楽天ポイントカードの利用が増えており」(小林氏)、統合の方が現実的だという結論に至ったわけだ。
将来的には、「トランザクション(≒商取引)のデータと楽天グループが培ってきたAIのノウハウを組み合わせて、ユーザーにカスタマイズされた機能や案内を行えるようにしたい」という。小林氏は、具体的な内容までは示さなかったが、「完全自動化してカスタマイズして、出す(提示する)ところまで試行錯誤しており、そろそろ発表できるのではないか」と述べるにとどめた。
楽天ペイアプリを楽天グループのフィンテックサービスの入り口として機能させるため、チャージの方法を拡充させてきた。「楽天銀行を持っていない人のために260以上の金融機関からのチャージに対応させ、現金志向の人向けにはセブン銀行に続いてローソン銀行からのチャージを可能にしてきた」(諸伏氏)
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