個人的に便利だと感じたのは、設定変更でスクリーンショットを取れるようになることだ。コロナ禍のころと比べると減ってはいるものの、ZoomやYouTubeを使ったオンライン発表会はいまだに残っている。記者会見が中継されることも一般化した。こうしたイベントに参加する際には、スクリーンショットを取っていたが、画面が切り替わる前にサッと記録するのはなかなかハードルが高かった。
筆者はMagic Keyboardでショートカットを使っていたが、キーボードは持ち歩いていないこともある。ショートカットは3つのキーを同時に押す必要があるため、メモを取りながら急いで操作すると失敗してしまうことも。電源キーと音量の上を同時に押すのは、さらに面倒。重要な場面でスクリーンショットを取れないこともありうる。このような時に、Apple Pencil Proのスクイーズは便利。握るだけなの、キーボードショートカットより失敗も少ない。
スクリーンショットは、スクイーズの動作にショートカットを割り当てることで設定できる。ツールパレットの展開とは排他で、どちらか一方しか選択できないものの、オンライン発表会のときだけ設定を切り替えればいいだろう。準備に設定変更のひと手間がかかってしまうものの、それだけでオンライン発表会により参加しやすくなる。
薄くて軽く、アクセサリーも使い勝手がいい11型iPad Proだが、13型iPad Proと同様、パフォーマンスも高い。M4チップを搭載しており、ベンチマークでは軒並み高スコアをたたき出している。とはいえ、筆者の用途はテキスト作成やPhotoshop、Lightroomを使ったちょっとした画像処理、動画視聴などが中心。正直なところ、これまで使っていた第3世代の11型iPad Proでも十分快適に動作していた。むしろ、パフォーマンスを持て余している感もある。
ゲームでもすれば話は別かもしれないが、iPad Proはどちらかといえば仕事で活用することの方が多い。同時に発売されたiPad Air(M2)に買い替える手もあったが、同モデルはProMotionに対応しておらず、スクロールの滑らかさに欠けるところがある。120Hz駆動を見慣れてしまうと、やはり60Hzのディスプレイには戻れない。先に挙げた新しいiPad Pro用のMagic Keyboardも利用できない。
性能の高さは数値だけで競うものではなく、アプリという応用例があってこそ生きてくる。このような“提案”が少なかったのは、残念なところだ。先に述べたように、特に11型のiPad Proは、13型のそれと比べ、薄さや軽さといったハードウェアの進化が分かりづらい。アクセサリーを除けば、処理能力がこれまでのモデルとの最大の差と言っても過言ではない。
M4の38TOPSという高いAI処理能力を生かし、オンデバイスでボイスメモの録音を文字起こしできたり、FaceTimeで打ち合わせした内容を要約してくれたり、写真アプリで不要な写り込みを消去できたりといったことが可能であれば、もっと評価は高くなっていただろう。その意味では、今後、iPadOSにどうAIを取り込んでいくかで真価が決まることになる。これらを踏まえると、6月10日(現地時間)に開催されるWWDCは、iPad Proにとっても重要なイベントになる可能性が高い。最終的な評価を下すのは、その発表を見てからでも遅くはないだろう。
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