ここまでの試用で便利だと感じたのは、アプリと専用サイトのどちらからでも試せることだ。飲食店のモバイルオーダーサービスによっては、どちらか一方の利用手段しかない場合がある。この点、タリーズコーヒーではアプリに慣れている人ならアプリから、アプリのインストールが面倒な人なら専用サイトから利用できるため、使い始める際の間口は広いといえる。
一方、やや不便だと感じたのは、注文できる商品がドリンクに限られていること。今回、訪れた店舗でドリンクとフードのセット注文を試みたところ、注文と会計が分かれてしまった。店舗スタッフからは「先にモバイルオーダーでドリンクを注文し、後からレジでフードを注文する」という提案を受けたが、正直面倒だし混雑時には後で並ぶ人に迷惑が掛かってしまう。いわば本末転倒なのだ。
タリーズコーヒージャパン広報によると、2024年6月時点においてモバイルオーダーを利用可能な全店舗で時間帯を問わずフードを注文できない。理由を聞いたところ、「まずは品数を絞ってオペレーションに慣れてもらう段階にある。店舗によって品ぞろえが異なり、品切れ対応が漏れるリスクがあるためだ」と回答した。
また、会員登録が面倒だと感じる人もいるのではなかろうか。そもそもモバイルオーダーの最大のメリットは、レジに並ばず手間要らずのはず。ならば、会員登録せずにサクッと注文できるのが理想だ。
タリーズコーヒーと同じくコーヒーやフードを提供している、スターバックス コーヒー ジャパンは5月22日から、一部店舗で会員登録とアプリのインストールをせずに「Mobile Order & Pay」(モバイルオーダー&ペイ)を利用可能にした。iPhoneのカメラで店舗の「App Clip」コードを読み込むと、注文と決済を行うための専用サイトに推移する。
筆者もApp Clipコードを掲示した店舗で注文をしたことがあるが、実に楽で正に手間要らずだと感じた。ただ、利用できる店舗が限られているのと、スマートフォン向けのアプリをダウンロードせずに、アプリの一部分のみを使える、AppleのApp Clipが十分に認知されていないせいか、同じ店舗に何度か行っても利用者を1人も見かけなかった。
タリーズコーヒージャパンにもApp Clipの導入を検討してほしいところだが、タリーズコーヒーのモバイルオーダーが先払いを前提としており、「返金などが生じた場合に対応するため」(同社広報)、会員登録不要とする予定はないという。とはいえ、モバイルオーダーを利用できる飲食店が増えることは歓迎したいし、まだまだ進化の余地はありそうなので、今後のアップデートに期待したい。
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