E Inkディスプレイは液晶と異なる特性を持っている。特筆すべき点として、E Inkは輝度でコントラストを表現できないため、カラー表示時に解像度が落ちてしまうという課題がある。
BOOX Go Color 7では、モノクロ表示時は300ppiの高解像度を実現しているが、カラー表示に切り替えると150ppiまで解像度が低下する。この解像度は初代iPad並みの解像感であり、細かい文字を含むコンテンツを閲覧する際に課題となる。
実際にさまざまな出版物を閲覧してみると、解像度の違いによる影響は媒体によって異なることに気付いた。相性がよかったのは漫画だ。くっきりとした線画でサイズもコミック版と近い。カラーページの塗り分けもイラスト的だから電子ペーパーと相性が良い。このため、漫画を読むには非常に適しているといえる。
雑誌の場合は、内容によって読みやすさに差が出た。週刊誌のようなモノクロページは非常に読みやすい。しかし、光沢紙に細身のフォントで印刷するようなグラフィックにこだわった雑誌では、文字が細すぎて読みづらいと感じた。
日経電子版の紙面ビュワーも使用してみた。タイトルは問題なく読めるものの、本文は拡大しないとほぼ読めない状態だった。これは、カラー表示時の解像度低下が原因だと考えられる。
Androidタブレットなだけに、BOOX Go Color 7ではSNSやWebブラウザも利用できる。テキスト主体のSNSを利用する場合、リフレッシュモードを「A2」に設定すると比較的滑らかに閲覧できる。しかし、画像が多く含まれるコンテンツをスクロールしていくとゴーストが徐々に蓄積されていくため、スマートフォンで見るときほどの読みやすさは感じられない。
一見するとこれはデメリットに思えるが、実際には意外なメリットをもたらす。SNSに依存しがちな筆者にとって、この"少し見づらい"という特性は、SNSとの適切な距離感を保つために重要な要素となった。
まず、SNSの利用が自然と適度に抑えられる。気分転換程度にSNSを開くことはあっても、長時間没頭することが少なくなる。そして、SNSの閲覧後、自然と本に戻ろうという気分になれるのだ。さらに、SNSへの過度の没頭を防ぐことで、全体的な集中力の維持にもつながっている。つまり、この“見づらさ”は、デジタルコンテンツとの健全な関係を築くための、ある種の「仕掛け」として機能しているのだ。
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