AIを駆使したコンピュテーショナルフォトグラフィーは、Pixelシリーズの人気を押し上げた機能の1つ。Pixel 9シリーズでも、その実力はさらに進化している。カメラの構成はノーマルモデルが超広角と広角、プロモデルが超広角と広角と望遠で、メインになる広角カメラのセンサーやレンズなどのスペックはPixel 8シリーズから据え置き。Pixel 9の超広角カメラは、12メガピクセルから48メガピクセルに画素数が向上した。
画素数向上のメリットは、ピクセルビニングで感度を上げられるところにある。この点で、Pixel 9はレンズのF値も1.7と明るく、“プロ並み”になった。この数値はPixel 9 Pro/9 Pro XLも同じだ。また、Pixel 9/9 Proはペリスコープ型の光学5倍望遠カメラを搭載している。こちらも画素数は48メガピクセルと高い。さらに、ピクセルビニングを解除すれば切り出してズームにも使える。
これは「Pixel 7 Pro」で採用された仕組みだが、もとの光学5倍に切り出しを組み合わせることで、10倍までかなり劣化の少ないズームが可能になっている。Pixel 9 Pro/9 Pro XLもそうで、10倍ズームで撮ってもデジタルズームに特有の粗さがない。30倍の超解像ズームになるとやや加工感は出てくるが、ディスプレイに等倍表示するなら十分なクオリティー。人物撮影でも、顔の印影や表示のディテールまでしっかり分かる。
上掲の写真はPixel 9 Pro XLのものだが、同じ写真はより小型なPixel 9 Proでも撮影可能。取り回しがよくなった分、気軽にズーム撮影を楽しめる。超解像ズーム自体はPixel 9も備えているが、望遠カメラを搭載していないため、最大倍率は8倍にとどまる。この望遠の有無が、ノーマルモデルとプロモデルの最大の差分といっていいだろう。
また、プロモデルでは、動画撮影でも最大20倍の超解像ズームを利用できるようになった。以下が、その機能を使って撮影した動画。1倍から20倍まで、だんだんと被写体に寄っていくことができる。惜しいのは、カメラが切り替わったタイミングで映像がカクンと動いてしまうところ。カメラの位置が微妙にズレているためだが、こうした点はレンズの操作で滑らかにズーミングできるデジカメやビデオカメラなどとの違いと言っていい。将来的にはAIでカバーしてきそうなだけに、今後の進化に期待したい。
AIを使った撮影の新機能として注目されているのが、「一緒に写る」だ。これは、文字通り集合写真に撮影者が写る機能のこと。最初に撮影する人が撮った写真を位置関係などまで含めて一時的に記録しておき、後から写した撮影者を合成する仕組み。第三者に撮影を頼む必要なく、その場にいる全員を1枚の写真に収めることができるのがこの機能のメリットだ。
この機能で撮った写真は以下の通り。撮影時には筆者とモデルしかいなかったが、あたかも誰かに撮ってもらったかのような写真に仕上がった。位置を調整するため、画面にガイダンスが表示され、本体の振動でもそれが分かるため、撮影はしやすい。ただし、場所によっては前後関係がうまく認識できないこともあった。「一緒に写る」ではARを使って位置関係を把握しているが、背景が白一色など単調でPixelと被写体が近いとエラーが起きやすかった。この機能はあくまでプレビュー版という扱いだが、精度については改善の余地もありそうだ。
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