とはいえ、中古iPhoneの注意点もある。大きな注意点は保証が効くか否か。中古販売店舗やECサイトで購入したiPhoneは基本的にサポートを受けられない。保証期間は販売店によって異なるが、購入日から1カ月〜1年までの期間が多い。
例えば、Appleの有料保証サービス「AppleCare+」は過失や事故で故障した際にApple StoreやApple正規サービスプロバイダーに持ち込めば、何度でも割安の料金で修理してもらえるサービスだが、(新品の)購入日から30日以内に加入する必要がある。
もとの所有者が、有料保証サービスのAppleCare+に加入したまま手放したiPhoneは、利用者が変わっても保証対象になる場合があるが、実店舗ではAppleCareに登録した人と利用者の情報が合致しないことを理由にサポートを受けられないケースもある。
中古iPhoneはバッテリーの劣化が進んでいるものもある。劣化が進んだバッテリーを搭載したiPhoneは駆動時間が短く、結果として「電池持ちが悪い」「少し減りやすくなってきた」などと感じやすくなる。購入後にバッテリー交換費用を負担せずに済ませたいなら、最初から新品か状態のいいものを選んだ方がいい。
最も気を付けるべきは、携帯電話として機能するかどうか。中古iPhoneを買うという行為は言い換えれば「箱(ボディー)」だけを入手し、通信を機能させるためには自分で「SIMカード(遠隔で契約者情報を書き込めるeSIMを含む)」を用意する必要がある。当たり前だが、iPhoneだけが手元にあっても、通信事業者と契約したSIMカードがなければ、音声通話やデータ通信は利用できない。
ここで気になるのがSIMカードとiPhoneの相性だ。特にソフトバンクのモデルは機種によって対応するSIMカードが異なる。どのSIMカードを挿しても動くとは限らない。例えばiPhone 14〜iPhone 16シリーズは「nano USIMカードA(S)」だが、「iPhone SE(第3世代)」「iPhone 13」シリーズなどは「iPhone 専用 nano USIMカードA(C2)」にしか対応しない。
つまり、SIMフリーのiPhoneを選んだとしても自分が使っているSIMカードで必ず動作する、とはいい切れないため、中古iPhoneを選ぶ場合は事前に動作有無を調べるといい。
SIMロックの解除の有無にも注意したい。総務省が2021年に改定した「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」では、発売日が2021年10月1日以降の端末に「回線提供元の回線でしか使用できないようにするSIMロック」をかける行為を原則禁止している。解除手続きが必要な機種も販売店には存在するので、機種によっては解除の手続きが必要となる。
なお、iPhoneの場合、iPhone 13シリーズ以降の機種なら、ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルいずれも、SIMロックがかかっていないため、SIMロック解除の手続きは不要だ。SIMロックがかかっているiPhone 12以前の機種を中古で購入する場合、商品ごとにSIMロックが解除されているかどうかが記載されている場合があるので、その内容を確認しておくといい。
最後に、「赤ロム」にも触れておく。赤ロムとは、本体代金の滞納や盗難などを理由に、携帯電話事業者がネットワークの利用を制限し、利用者がSIMカードを挿入してもデータ通信ができない状態を指す。
この赤ロムかどうかについては購入前に店頭で確認したり、ECサイトから商品の状態とともに確認したりできる。利用者自身で赤ロムか否かを見分けるには、以下のURLにアクセスし、利用する端末のIMEIを入力する。
ただ、購入時にネットワークの利用が制限されていなくても、購入後に制限がかかってしまうケースもある。この場合、ゲオとじゃんぱらは保証期間に関係なく、「同機種/同等品との交換か返金に応じる」と案内しているが、ソフマップでは保証期間を3年間と定めているので注意しよう。
じゃんぱらでは「期不良保証とは別に「赤ロム永久保証」を設けております。十分に注意して買取を行っておりますが、万が一赤ロムが発生した際には、同機種/同等品と交換をさせていただきます。同等品がない場合は、ご購入金額にて返金させていただきます」と案内している。画像はじゃんぱらの「ケータイ販売‐赤ロム永久保証」というページより引用ここまでの内容をおさらいすると、新品iPhoneは高くても新機種や新機能をいち早く試したい人、中古iPhoneは注意点を十分に理解し、新品iPhoneの購入よりも出費を抑えたい人に向く。どちらがいいとは一概にいえないが、予算や用途から判断するといいだろう。
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