今年もアメリカ・ハワイ州マウイ島で開催された「Snapdragon Summit」。去年は「オンデバイスAI時代がやってくる」と、とてもワクワクしたイベントであった。今年はすでにオンデバイスAI対応が進み、「Snapdragon 8 Elite」はOryonが搭載され、処理能力が大幅に向上したというのがニュースであった。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2024年10月26日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
そんななか、クアルコムが「オンデバイスAIでこんな便利なことができる」とアピールしてきたのが「会計時、スマホのカメラをレシートにかざすと合計金額に20%のチップを載せ、3人で割り勘にする」というものであった。
会場内は結構、盛り上がったような雰囲気であったが、個人的には「オンデバイスAIの活用はそんなレベルで満足して良いのか」とちょっとガッカリであった。
最近、アメリカのレストランなどで会計しようとすると、すでに15%、20%、25%など、合計額に対してのチップ金額が記載されていたりする。ただ、そんなことをしなくても、なんとなくの20%なんて暗算でできるだろうし、割り勘に関してもザックリとした金額でなんとかなるだろう(割り勘にする際には各人、綺麗な数字にして、余ったのをチップの上乗せするとスムーズ)。
メディア関係者のなかには「アメリカには九九ができない人もいるから無理はない」と受け入れている人もいたが、やっぱり「この程度の使い方でオンデバイスAIを語るのはいかがなものか」という気がしてならない。
滞在中のインタビューは、Pixelのボイスメモで録音し、英語なのでGemini-nanoの「要約」機能を使ってみた。実際にキチンと要約してくれるのだが、短くしすぎて「もうちょっといろんなエッセンスを残して欲しいかも」と思ったが、このあたりは、これからも試行錯誤が続きそうだ。
ちなみに、先週、マイアミでiPhone 16 Pro Maxを購入し、英語設定にしておいてApple Intelligenceが使えるiOS 18.1を入れている。試しにボイスメモを起動し、Snapdragon Summitの基調講演を録音し、その場でテキスト起こしをしてみたが、精度はかなり低かった。そもそも「Snapdragon」という言葉も認識してくれないため、正直言って、使い物にならない。このあたりはやはりGoogleのほうが遥かに先を行っている印象だ。
オンデバイスAIに対して期待値は高いのだが、「これは使ってみたい」「とても便利だ」というぐらいになるには、もうしばらく時間が必要なのかも知れない。
というか、やはり「オンデバイスとクラウドのハイブリッド」が最も実用性のある活用方法という落とし所になってきそうだ。
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