懸案の通信品質について、前田氏は「われわれの全ての事業の根幹となるネットワーク」と強調する。5GのSub6エリアを都市部中心に拡大しているドコモは、全国のエリアは4キャリアでナンバー1だとアピール。このSub6エリアの拡大に対して、4Gを転用した5Gエリアも活用して、「さらに厚みのあるネットワークとして、お客さまの期待する体感品質を提供する」と前田氏は話す。
特に1都3県を中心とした人口密集エリアに対して、Sub6と転用5Gの基地局数はともに2024年3月から9月にかけて10%増。これを2025年3月までにそれぞれ30%、40%の増加を図る。東名阪、福岡などの主要都市中心部のSub6基地局数はさらに拡大。鉄道の主要同線でも数を増やす。結果として、主要都市中心部の3分の2以上で100Mbps以上のスループットを達成し、渋谷駅や大阪駅、名古屋駅、山手線といった場所でスループットが向上しているという。
さらにイベントでの対策も強化。こうした取り組みはドコモのサイトでも公表していく。全国的な取り組みだけでなく地域ごとの取り組みも掲載していくという。
結果として、Opensignalによるネットワーク調査を指標の1つとして、前田氏は年度末までに1位を取ると宣言しているが、「急ピッチに取り組みをしている」という。Opensignalとのやりとりで「どこが悪いのか、データで確認している」ということで、順次問題を解消していく意気込み。「年度末までの間にかなり向上していることを見込んでいる」(前田氏)。
急ピッチでの拡大であるために、基地局の場所の確保や工事でも苦労をしている面はあるとしつつ、継続して取り組みを進める。他にも基地局のチューニングやd払いアプリを使って店舗での通信品質を調査してレピーターを設置するなど、細かな取り組みも進めて「重層的に幅広くやっていく」と前田氏は話す。
また、同社ではブランドスローガンを刷新する。既に発表しているグループビジョン「テクノロジーと人間力で新しいつながりを生み、心躍る価値創造で、世界を豊かに、幸せに」にも関連する「つなごう。驚きを。幸せを。」というもので、「特にこだわったのはビジョンの中心にある『つなぐ』という言葉と『驚き』という言葉」と前田氏は言う。
「ドコモグループが提供する価値に触れたときに、お客さまがイノベーション、つまり新しいものに触れたときに感じるとうれしい驚き、これを生み出して、それが定着していくことで世の中が幸せになる。そんな未来をグループ一丸となって生み出していきたいという合言葉」と前田氏は説明した。
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