ドコモの通信品質向上、新ブランドスローガンにも反映? 「つなぐ」強調の意図は

» 2024年11月07日 16時05分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 NTTドコモは2024年11月7日、ドコモグループのブランドスローガンを「つなごう。驚きを。幸せを。」に一新した。ニュースリリースの中で“つなぐ”という言葉を強調する。一体どのような意図なのか。ドコモの前田義晃社長が同日の決算会見で説明した。

 ドコモは2021年7月19日から、イノベーションで新たな生活価値やライフスタイルを生み出し、社会を大きく変えていこうという考えを「あなたと世界を変えていく。」 というブランドスローガンを掲げてきた。

 ドコモはニュースリリースで、あらゆる「あなた」と一緒に、さまざまな領域においてイノベーションを起こし、新たな世界を実現したいという挑戦への想いのもと、新しい生活価値やライフスタイルの創造に取り組んできた、と説明している。

 今後は、ドコモグループとして「つなぐ」を価値創造の源泉として、それぞれの事業の強みをつなぎ、掛け合わせることで、パートナーのみなさまとともに新しい価値を生み出し、そこから生まれる嬉しい「驚き」と「幸せ」にあふれた社会を実現したいとしている。

 その想いを表現した、新しいブランドスローガンとブランドステートメントは次の通り。

■新しいブランドスローガン

つなごう。驚きを。幸せを。

■新しいブランドステートメント

時代とともに、

さまざまなものをつないできた私たち。

しかし今。

世界中のさまざまな困難が、

ただ「つなぐ」だけでは解決できない課題があることを、

浮き彫りにしている。

だからこそ今、私たちは改めて

「つなぐ」の可能性に向き合いたいと思う。

私たちは、驚きを、つなぐ。

変わることをおそれず、

絶えずイノベーションを起こすことで、

心と社会を動かしつづける。

私たちは、幸せを、つなぐ。

人が誰かを思う気持ちによりそい、

企業や地域が前進する力を後押しすることで、

よろこびと安心を支えつづける。

つなぐ。

そこには無限の可能性がある。

まだない可能性を引き出し、

心躍る価値を生み出すために。

すぐに、すみずみまで、最後まで、つなぐ。

時には誰かと手をつなぎながら、

ともに、どこまでも、つなぐ。

ただつなぐだけでは、足りない。

「つなぐ」すべてをやりきって初めて、

本当の驚きも、幸せも、つながっていく。

すべての人が豊かさを感じられる世界をめざして。

つなごう。

docomo ドコモ 通信品質 つながりやすさ ドコモグループの新ブランドスローガンとブランドステートメント

 前田氏は「つなぐは単に情報の伝達の話だけをしているのではない」と話し、「つなぐことにこだわり、高い品質レベルでつなげていくこと」「家族や仲間と大切なものやことを共有し、絆を強めること」「異なる価値を組み合わせて、新たな価値を生み出し育んでいくこと」の全てを含む考え方だと説明する。

 ドコモグループとして、新しいブランドスローガンを検討する中で、前田氏が「特にこだわった」点は「ビジョンの中心にあるつなぐという言葉と、驚きという言葉だ」という。「ドコモグループの提供する価値やイノベーション(新しいもの)に触れて、嬉しい驚きを感じてもらい、それが定着していくことで、世の中が幸せになっていく、そんな未来をグループ一丸となって目指す」(前田氏)という意味もあるそうだ。

 前田氏のいう「高い品質レベル」はドコモ通信品質を示すのではないか? とも受け取れる。ドコモの通信品質については、2023年から一部のユーザーが“パケ詰まり”をSNSなどで訴えるようになった。これを受け、ドコモは通信品質の改善に300億円を先行投資し、全国2000カ所の“点”や、鉄道動線などの“線”で品質を改善してきた。他にも「d払い」アプリでバーコードが表示されるまでの時間を場所ごとに可視化するなどして、通信品質の向上に取り組んでいる。

 そんな中、英Opensignalによる日本のモバイル通信品質の調査レポートで、KDDIが全18部門のうち13部門で1位を獲得し、国内MNOでは最多受賞となった。

docomo ドコモ 通信品質 つながりやすさ Opensignal社の「モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポート」。国内MNOではKDDIが最多受賞となった

 KDDI 執行役員 コア技術統括本部 技術企画本部長 前田大輔氏は10月17日の通信品質説明会で「4G転用周波数を利用した5Gをベースに、Sub6の基地局を高密度に打つことで、浸透度の高いSub6を提供できるのがKDDIの取り組み方だ」との考えを示し、「ドコモと楽天モバイルはSub6から展開し、エリアカバーもSub6に依存してしまうため、KDDIのような高密度な展開ではなく、薄めのSub6の展開が先行する」との見方を示した。

 ドコモの前田氏は11月7日の決算会見で「Sub6のエリアをどのように全国的に広げるかをまずは優先してきた。基地局の打ち方でエリア品質が保てる場所もあるため、ドコモとしての考え方が間違っているとは思えない」とした一方で、「都市部など、人口密集エリアにはもっと密に打っていかなければならないという課題認識はある。その中で、4G転用周波数を埋められていないのも事実」と話した。

docomo ドコモ 通信品質 つながりやすさ ドコモのロゴ。つながりやすさは今後さらに分かりやすい形で向上するのだろうか

 日本電信電話(NTT)の島田明社長はドコモの前の時間帯に開催した決算会見で、「ドコモの顧客基盤の強化と、通信品質の強化が重要な課題である。この2点を死守をしたい。そのためにはあらゆる面で、コストを改善しなければならない」と話した。

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