みずほフィナンシャルグループと楽天グループが資本業務提携を発表した。みずほFGは楽天カードの株式14.99%を1650億円で取得する。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2024年11月16日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
みずほFGの木原正裕社長は「デジタルが加速すればするほど『対面』の価値も出てくる。みずほは対面に強みがある。デジタルとコマースにおいて日本で一番使いやすいポイントを持つ楽天と組むことで、できることがある。証券の提携からもう一段広げて取り組んでいく」と意気込みを語った。
確かに店舗の対面に強みがあるということで、質疑応答では「みずほ銀行の店頭で楽天経済圏のモノを売る、例えば楽天モバイルの契約を獲ったりしないのか」という質問をしてみた。
すると三木谷会長は「それはいい」と笑みを浮かべたが、一方の木原社長は「業法の関係上、無理。銀行でモノは売れない。業法を変えるしかない」とツレナイ回答であった。
こんな質問を思いついたのは、楽天グループが日本郵政から出資を受けたのち、郵便局内で楽天モバイルのブースを出し、契約を獲得していたという経緯があったからだ。
ただ、楽天モバイルの郵便局内ブースに関しては「出資による効果」というよりも、郵便局には局内の空きスペースをレンタルする仕組みが前からあって、単に楽天モバイルが各郵便局にレンタルスペース代を支払って、間借りしていたというのに過ぎなかった。
郵便局内では、通販のチラシや封筒などの雑貨が所狭しと並べられていたりなど、「なんでもアリ」な空間になっているが、銀行の中と言えば、確かにスッキリしていて、銀行以外のモノが置かれているというイメージがない。
このあたり、ちょっと調べてみたが、銀行には銀行とその周辺の業務しかできない決まりのようだが、ただそのルールも厳密ではなく、別の法律があれば、やれないことはないといったグレーな感じも漂っていた。
さすがにATMの前でカウンターを出して楽天モバイルの契約を獲りまくるというのは難しいかも知れないが、例えば、今回、発行となる「みずほ楽天カード」のユーザーに対して、楽天モバイルの新規契約への優遇を促すDMを送りつけるなど、効率的なマーケーティング活動は可能だろう。
その程度の間柄なら良いが、KDDIと三菱UFJ銀行が関係を見直し、auカブコム証券があっと言う間に「三菱UFJ eスマート証券」に変わってしまうように、将来的に楽天証券やカードもみずほ傘下にまるごと取り込まれてしまわないかが心配だ。
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