オウガ・ジャパンは11月29日、スマートフォンのハイエンドモデル「OPPO Find X8」を12月12日に発売すると発表した。OPPO公式オンラインショップでの価格は13万9800円(税込み、以下同)だ。11月29日、専務取締役の河野謙三氏、営業推進部でプロダクトマネージャーの中川裕也氏、Hasselblad日本総代理店セキド代表取締役の大下貴之氏が発表会場に登壇し、製品の詳細や戦略を語った。
OPPO Find X8は、中国OPPOが11月21日(西インドネシア時間)に発表したハイエンドモデル。Findシリーズの新モデルは、2021年6月発売の「OPPO Find X3 Pro」以降、日本市場で出なかったが、7月20日のイベント「IIJmio meeting35」で、オウガ・ジャパンのプロダクト部の丹下氏が投入を予告していた。
河野氏いわく、Findシリーズは「OPPOが持つ最高の技術力と、妥協なき品質追求の結晶であり、私たちのDNAそのものを体現するフラグシップブランド」だ。「この3年間、私たちは沈黙を守ってきたが、その間もSNSやコミュニティーで次のFindはいつ来るのか? という期待の声は途切れなかった」と河野氏は振り返る。
「3年間の沈黙は日本市場への情熱の冷却ではない。むしろその逆だ。私たちは日本の皆さんが持つ匠(たくみ)の心に強い敬意を抱いている。品性のあくなき追求、細部へのこだわり、革新的な技術への造形がOPPOの価値観と完全に重なるからこそ、この3年間、一切の妥協を許さず、完璧を追求してきた」(河野氏)
OPPO Find X8を「最先端技術と美しきデザインの融合、そして妥協なき品質管理が生み出した真のプレミアムスマートフォンだ」と河野氏は言い表す。その最大の特徴の1つに、スウェーデンのカメラメーカー「Hasselblad(ハッセルブラッド)」との協業によるカメラシステムを搭載する点が挙げられる。その名は「Hasselblad Master Camera System(ハッセルブラッドマスターカメラシステム)」で、超高性能ズームと最新AI搭載機能を備える。
ハッセルブラッドは、1841年に国際的な貿易商として創業以降、さまざまな写真用品を販売してきた。ハッセルブラッドブランドのカメラの歴史は、空撮カメラの「ROSS HK-7」から始まり、1969年には世界初の月景色撮影に成功。2016年には世界初の中判ミラーレスカメラ「X1D 50C」を発売した。実は、ビートルズがアビーロードを横断する姿も、ハッセルブラッドのカメラで撮影されている。
ハッセルブラッドカメラの特徴は大きく3つある。1つ目はフルサイズカメラを上回るダイナミックレンジで、「後処理の余地が大きく、明暗部のディテールを含め、豊かな表現が可能」(大下氏)な点。2つ目は色彩表現が非常に忠実である点で、「光と影を大胆に捉え、人間の目で見たままに近い色を、忠実に再現できる」(大下氏)という。
そして、3つ目はハッセルブラッドナチュラルカラーソリューション(通称HNCS)を持つ点だ。大下氏は「多くのカメラメーカーは、色彩を正しく見せるため、色彩設定に加え、さまざまなシーンに応じた色彩プリセットを用意するが、実際の撮影シーンにおける被写体は複合的で、1枚の写真に風景、人、その他の物体が同時に写り込むことがよくある」と指摘。その上で、「HNCSを持つハッセルブラッドが、長年にわたるフィルム分野での色彩経験を生かし、リアルで自然な色彩を再現できるようにした」と話す。
河野氏は、「どこ(どのカメラメーカー)と組むかについては、過去にカメラフォンと銘打ち、スマートフォンを世に送り出してきたメーカーにとって非常に大切だが、OPPOが持っていたカメラの色味を180度曲げてまで、著名なカメラブランドと共用することはない」と前置きし、OPPOがハッセルブラッドと手を組み、カメラシステムを共同開発した理由を次のように述べた。
「ハッセルブラッドは、世界中のプロフェッショナルな現場で使われてきたカメラであり、色表現の忠実度が高いメーカーだ。OPPOは、もともとAV機器メーカーとしてユニバーサルブルーレイプレーヤーを販売してきた。映像表現、色の再現性には歴史的に見ても、非常に強みを持っている。スマートフォンのカメラのイメージセンサーは複数メーカーのものを採用しているが、どのような色を見せるかは非常に大切にしてきた。OPPOとハッセルブラッドの色の方向性が一致したため、2022年に手を組むことにした」(河野氏)
アウトカメラは、F1.8の広角レンズ、F2.0で画角が120度の超広角レンズ、F2.6で光学3倍ズーム対応の望遠レンズの3眼構成で、有効画素数はいずれも約5000万画素となっている。インカメラは約3200万画素でF2.4のみだ。このうち、望遠カメラについては、OPPOが特にこだわったところ。光学3倍相当の望遠カメラながら、遠く離れた月を鮮明に撮影できるのもポイントだ。約7.9mmと薄型なボディーのOPPO Find X8で、なぜそのようなことが可能なのだろうか?
中川氏は、一般的なカメラの仕組みとの比較を交えこう説明する。「レンズから直線的にイメージセンサーに光が届く一般的なカメラの仕組みのままでは、焦点距離をほとんど確保できず、L字型にして厚みを抑えつつ焦点距離を伸ばせても、イメージセンサーが端末と垂直になり、小さなサイズのイメージセンサーしか使えず画質が落ちる」(中川氏)ことから、OPPOは「世界で初めてW型のプリズム構造を採用」(中川氏)した。
「レンズから取り込んだ光を3回反射させ、焦点距離を稼ぎながらイメージセンサーもスマートフォンと平行に配置することで大型化に成功。スマホ本体の厚みやカメラモジュールの突起を最小限に抑えたスリムなデザインでありながら、一般的なハイエンドモデルの光学3倍望遠カメラと比べて、「約2.5倍のサイズとなる1/1.95型の大型センサーを搭載でき、望遠カメラでの高画質な撮影を可能とした」(中川氏)
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