本稿ではiPhone 13 miniとiPhone 16の比較となるため、技術進歩の速さを考慮すると単純な比較は難しいが、カメラシステムにおいて大幅な進化が見られる。
まず、メインカメラの解像度が1200万から4800万へと大幅に向上している。iPhone 15世代から搭載されている高解像度センサーはピクセルビニングを使用し、暗い照明下でも明るい写真を撮影できる。2倍クロップでのズーム撮影と、Apple ProRAWによるRAW撮影も可能となっている。
超広角カメラは両モデルとも1200万画素だが、iPhone 16ではより大きなセンサーとF2.2の絞り値を採用し、低光量下でのパフォーマンスが向上している。また、iPhone 13 miniにはなかった望遠機能として、iPhone 16では広角カメラからのクロップズームとなる2倍光学ズーム相当(52mm)が利用可能だ。明るい場所での撮影に限られるが、ちょっと寄って撮りたいというときに、画質劣化の影響を受けずに撮れるのはやはり便利だ。
写真処理技術においても、iPhone 16はPhotonic Engine(Deep Fusionの改良版)を搭載し、低光量下での画質が向上している。特に暗所での撮影性能の向上が顕著に感じられ、夜間の街並みや室内の薄暗い場所でも、明るく鮮明な写真が撮影できる。
試用した印象ではホワイトバランスの認識精度が高いと感じた。例えば、ホテルのオレンジ色の照明に照らされたプレゼンテーションの画像と登壇者のような、色味の判別が難しいシーンでもiPhone 16は適切な色味で撮れることが多かった。
この記事では深く言及しなかったが、iPhone 16での注目の要素は、やはりApple Intelligenceへの対応だ。日本での提供開始は2025年以降となるものの、AIを活用した新しい機能は、iPhoneの使い勝手を大きく変えることになるだろう。AIによる文章作成のサポートやコンテキストを理解した賢いSiriなどが使えるようになれば、日常的なスマートフォン体験が一変することになりそうだ。アップデートを楽しみにしたい。
iPhone 13 miniからiPhone 16への移行は、大画面化という点で少々の戸惑いはあったものの、性能面での向上は目を見張るものがあった。特に、プロセッサとGPUの性能向上、カメラシステムの進化、そしてバッテリー持続時間の改善は、普段使いで満足感をもたらしてくれる大いなるアドバンテージだ。USB Type-C端子の採用も、利便性の観点から非常に歓迎すべき変更だった。
一方で、小型軽量を求めるユーザーにとっては、miniシリーズの後継機が登場しないことは残念に感じるだろう。筆者としてもiPhone 13 miniの使用感は唯一無二で、「このミニサイズにカメラコントロールボタンがあれば最高なのに」と今でも思っている。
結局のところ、ユーザーの需要に応じて端末サイズは変化していくのだろうが、小型モデルの洗練された使用感が再評価される日が来ることを願わずにはいられない。
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