さて、ここからが本題だ。iOS 18ではiPhone 15以降の機種において、「バッテリー充電の最適化」を使わずに、「充電上限」という値を設定できるようになった。
具体的には、「設定」アプリから「バッテリー」の欄を開き、次画面で「充電」をタップしよう。上部にはスライダが表示されており、バッテリー充電の上限値を80%から100%まで5%刻みで選択できるようになっている。
挙動は少々ややこしい。前提として、先述した「バッテリー充電の最適化」機能を利用するには、充電上限を100%にしておく必要がある。こちらは同設定画面の下部にオン・オフを切り替えるスイッチがある。一方、充電上限を80%〜95%にしている場合には「バッテリー充電の最適化」機能は有効にできない。
充電上限を80%〜95%にしている場合の挙動も複雑だ。まず、設定した上限との差が数%以内になると、その後の充電が停止する。また、端末を放置してバッテリー残量が5%を下回ると充電が再開するという。なお、充電上限が100%未満に設定されている場合でも、バッテリーの状態を確認することを目的に、たまに100%まで充電されることがあるとされている。
こうした情報を整理すると、今まさにAI機能に力を入れる同社が、なぜこのタイミングで手動での充電上限の設定機能を用意してきたのかはやや謎だ。
とはいえ、充電上限を手動で設定することで、従来の「バッテリー充電の最適化」が機能しないタイミングでもバッテリーの耐用年数を伸ばすことができるのは、ユーザーにとっては実用的かもしれない。
例えば「使用開始後も、iPhoneを電源に接続したまま使う・放置する」ような生活スタイルでも、「起床時刻がバラバラなシフト制で働く」人でも、「出張先など自宅以外でも充電に注意したい」ユーザーなどでも、バッテリーの劣化を抑えやすいということだろう。
なお、iOS側が使用状況を判断し、充電上限を何%に設定した方が良いと勧めてくることもあるようだ。大部分のユーザーとしては、基本的には充電上限を100%のまま「バッテリー充電の最適化」を使っておき、もしOS側から推奨の値が表示されたらそれに切り替えるという方針で問題ないだろう。また、先述のように、手動での切り替えも容易だ。iPhone操作にこなれたユーザーならば、シーンに応じた使い分けも可能だろう。
ちなみに、近い将来には、本稿で解説した「バッテリー充電の最適化」の進化版である「Battery Intelligence」なる機能も提供される見込み。こちらの動向にも注視しておきたい。
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