スマホ料金は「ポイ活」と「中容量強化」が進み、通信品質の重要性も増す――2024年のモバイル業界を振り返る石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2024年12月28日 10時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 2024年も残すところあとわずか。今年は、官製値下げの影響も一段落し、各キャリアともメインブランドでは金融・決済連携が進んだ1年だった。キャリアによっては、サブブランドやオンライン専用ブランドで獲得したユーザーがメインブランドへ上昇する動きも顕在化し始めている。こうした料金プランはデータ容量が無制限に設定されていることもあり、通信品質が以前にも増して注目される1年になった。

 一方で、中容量プランの料金では実質値下げの競争が激化している。ユーザーのデータ利用量が伸び続けていることを受け、ドコモがahamoのデータ容量を30GBに改定。KDDIやソフトバンクも追随を余儀なくされた。また、ワンプランを貫いていた楽天モバイルも、家族や若年層に向けた割引やポイント還元施策を導入している。今回は年末の振り返りとして、前編ではキャリア各社の1年の動きをまとめていく。

前田義晃
高橋誠
宮川潤一
三木谷浩史 24年は、料金競争に変わって経済圏競争が加速した1年だった。ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの動きを中心に、それをまとめていく。写真は上からドコモの前田社長、KDDIの高橋社長、ソフトバンクの宮川社長、楽天グループの三木谷社長

より接近した通信と決済、ポイ活プランで3社が激突

 ソフトバンクが2023年10月に導入した「ペイトク」に対抗し、各社が経済圏とより密接に結びついた料金プランを導入したのは、2024年の大きなトピックだった。ドコモは4月にahamo大盛りとd払いのポイント還元をひも付けた「ahamoポイ活」をスタート。8月には、データ容量無制限のeximoとdカードの決済を連動させた「eximoポイ活」を開始した。いずれも通常の料金プランと比べると料金は高いものの、決済を使うことで実質料金を抑えられるのが特徴だ。

ドコモ ドコモは、4月にahamoポイ活を開始した。現在は、d払いだけでなく、dカードの決済にもポイントが還元される

 ペイトクやahamoポイ活、eximoポイ活が決済連動だったのに対し、KDDIの「auマネ活プラン」はどちらかといえばauじぶん銀行やauカブコム証券といった金融事業とのシナジーを売りにしたが、同社もこれを12月にリニューアル。「auマネ活プラン+」として、au PAYゴールドカードやau PAYの決済に対してのポイント還元を充実させた。auマネ活プラン+の登場で、大手キャリア3社の“ポイ活プラン”が出そろった形になる。

auマネ活プラン+ KDDIは12月にauマネ活プランをauマネ活プラン+へとリニューアルし、決済連携を強化している

 キャリア各社が経済圏、特に決済サービスとの連携を重視する理由は主に2つある。1つが、通信への好影響だ。いわゆるポイ活プランは、通常の料金プランと比べて料金が高い。還元のためのコストはかかってしまうものの、ARPU(1ユーザーあたりの平均収入)の底上げにはつながる。また、キャリア各社の複数サービスを使うと、解約率が下がるデータもある。

 一方の決済サービス側にも利用促進を見込める効果がある。料金の元を取っておトクさを感じるには、コード決済やクレジットカードで数万円から十数万円は使わなければならない。携帯電話代を支払うために作り、そのままになっていたクレジットカードや、キャンペーンの時以外は放置されていたコード決済を使わせる動機付けになるというわけだ。auポイ活プラン+のように、ゴールドカードの優遇が強ければ、クレジットカードの契約獲得やアップグレードにもつなげやすい。

auマネ活プラン+ 経済圏と連携した料金プランは、金融や決済サービスの利用を促進する効果も高いという。写真はKDDIのauマネ活プランでの実績

 実際、KDDIはauマネ活プランを開始して以降、au PAYカードの契約数やauじぶん銀行の口座開設数が大きく伸びており、その効果の大きさは証明済みだ。また、決済サービスと連携したお得感はユーザー獲得にもつながる。ソフトバンクは、2024年度上期に初めてY!mobileからソフトバンクに移行するユーザーが、その逆を上回った。アップグレードするユーザーが増えているということだ。その理由を、同社の代表取締役社長執行役員兼CEO、宮川潤一氏は「昨年度(2023年度)ペイトクを出したが、その評価も高まってきたので徐々にソフトバンクへの移行が増えてきた」と語っている。

ソフトバンク ソフトバンクは、Y!mobileからソフトバンクへの移行が増え、逆の動きを上回った

 メインブランドの料金プランが好評なことは、各社の収益にも直結する。ペイトクが好調なソフトバンクは、2023年度下期で反転したモバイル売上高が2024年度上期で拡大。KDDIもUQ mobileからauへの移行数が2倍に増え、通信ARPUの拡大幅が大きくなった。irumoの影響が大きいドコモを除き、料金値下げの影響を脱することができたとみていいだろう。その意味で、2024年はキャリア各社にとって明るい1年だったと振り返ることができる。

ソフトバンク メインブランドの好調さは、決算にも好影響を与える。値下げ影響から完全に脱却したといえそうだ
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