Xの変貌で“代替テキストSNS”の覇権争いが過熱 「mixi2」がその穴を埋められるか

» 2025年01月14日 10時36分 公開
[鈴木朋子ITmedia]

 2024年も終わりに近づいた12月16日、MIXIは短文テキストSNS「mixi2」を突如リリースした。

 mixi2は、最大149.3文字(逆から読むとミクシィ)のテキストを中心に交流するSNSだ。テキストには「エモテキ」というエフェクトを施すことができ、文字を動かしたりアニメーションを追加したりできる。

 また、他のユーザーには「いいね」やコメントのほか、「リアクション」をつけられる。絵文字、アルファベット、日本語があり、日本語には「エモ」「わかりみ」など、流行語も用意されている。

 ユーザーの投稿はタイムラインに並ぶ。フォローした人の投稿が時系列で並ぶ「フォロー」がメインとなっており、他のプラットフォームのように「おすすめ」を優先していない。

 そして、かつて一世を風靡(ふうび)した「mixi」のように、「コミュニティ」機能を備えている。同じ趣味や関心を持つ仲間とコミュニティで出会い、交流ができる。

mixi2 mixi2の「エモテキ」は最大3つまで設定できる

 ここまでmixi2の特徴を簡単に説明したが、既に仕様を把握している人も多いだろう。mixi2はリリース直後に大きな注目を集め、招待リンクを求める人々が続出、アカウント登録者数は12月23日時点で120万人を突破するほどの人気ぶりだ。

 注目を集めた理由は、mixiでSNSの楽しさを知り、交流を深めていた世代からの「期待」だ。早速mixiでつながっていた人が再会するコミュニティや、「インターネット老人会」を名乗るコミュニティなどが立ち上がり、40代以降と思われるユーザーを中心に交流を始めている。しかし、mixi2はmixiとは別のSNSであると明言されている。アカウントの連携もない。

 「mixi2」事業責任者 笠原健治氏はプレスリリースにて、「世界的な巨大SNSはこの数年、友達とのコミュニケーションという立ち位置から、レコメンドを効かせたより面白い、刺激のある、バズっているコンテンツを見せて、滞在時間の最大化を図るように様変わりしてきている」と述べている。身近な友人知人とのコミュニケーションや、共通の趣味・興味関心の人たちとのコミュニケーションにmixi2を使ってほしいとのことだ。

 笠原氏が言うように、主要なSNSは受け手として「おすすめ」に流れるバズコンテンツを見るものへと変貌している。mixi2は、SNSの根本であるコミュニケーションに立ち返るサービスとしてリリースされたのだ。

Xの変貌によって求められる代替テキストSNS

 mixi2が参戦したテキストSNSの世界は、Xの変貌によって覇権争いが加熱している。

 Twitterがイーロン・マスク氏の買収によってXに変更されたのは、2023年7月のこと。その後、Xで開始された「クリエイター広告収益分配プログラム」により、インプレッション数狙いのアカウントが増殖した。さらにそのポストのリプライにぶら下がって収益を稼ごうとする「インプレゾンビ」が湧いてきた。

 インプレゾンビとバズ狙いのコンテンツにあふれ、「ブロック貫通」(ブロックした相手にもポストを見られる)などの仕様変更に、Xユーザーからは代替アプリの登場を待つ声が高まっている。

 現在、代替の最有力候補は、Instagramなどを運営するMetaのThreadsだろう。

 Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは2024年12月16日、ThreadsのMAU(月間アクティブユーザー数)が3億人、DAU(日間アクティブユーザー数)が1億人を超えたと発表した。現在Threadsを開くと、数多くのユーザーが活発に投稿、コメントし合っている様子が見られる。MetaによるとThreadsの利用が活発な国はインド、日本、台湾などアジア太平洋地域の国々で、日本ではファッション分野での利用が多いとのことだ。

 ThreadsはInstagramアカウントで利用するため、Instagramのコアユーザーである30代〜40代女性の投稿が目立つ。Instagramのキラキラした投稿とは異なり、日常の愚痴や不満が多く投稿されることから、「汚いInstagram」と揶揄(やゆ)されたこともある。しかし、スマホでネットを使い始めたような、ごく普通の人達が利用しているからか、Xのような激しいネットバトルにはあまり発展していない。

 また、Threadsはユーザーの収益化を行っていないため、Xにあふれるバズ狙いの投稿やアダルト系投稿は多くない。プラットフォームとしてもアルゴリズムを細かく調整して、ポジティブな場を作ろうとしていると感じる。

 Threadsは10月、Xのトレンドに似た「トレンドランキング」のテストを日本で開始した。Xのよさであるリアルタイム性がThreadsでカバーできるとなれば、Threadsに絞るユーザーも増えそうだ。

mixi2 Threadsに登場する「トレンドランキング」

 とはいえ、Xのユーザーが一気に去っていくことはないと筆者は考えている。Xのサブスクリプション契約をしているユーザーも多く、企業の公式アカウントも拡散力を目当てにXの利用をやめていない。しばらくはXとThreads、mixi2、そしてTwitter共同創業者のジャック・ドーシー氏が立ち上げたBlueskyなどのテキストSNSを併用していく人が多いのではないだろうか。

コミュニティを重視するmixi2の今後

 しかし、mixi2のライバルは、XやThreadsよりもFacebookのような強固なコミュニティを持つSNSなのかもしれない。

 実名で利用するFacebookは、リアルな人間関係と直結している。その点を「重い」と感じて避ける人も少なくないが、相互につながった「友達」向けに、安心して自分のプライベートな情報を出しているユーザーが多い。

 実はここ数年、友人との交流を深める「クローズドSNS(閉じたSNS)」へのニーズが高まっている。

 2019年頃に大流行した位置情報共有SNS「Zenly」は、クローズドSNSの走りといえる。お互いに自宅を知っているぐらい仲がいい人同士でつながり、自分の居場所や滞在時間をシェアする。抵抗を感じる大人も多かったが、本当に親しい友人とだけつながるのなら、いつでも会えるという利便性が勝つ。Zenlyのサービス終了に伴い、位置情報共有SNS全体が失速気味となったが、クローズドな交流はこの頃から支持されている。

 友人とリアルを共有するためのSNS「BeReal.」も、クローズドSNSとしての魅力で人気だ。BeRealは、通知が来たら2分以内にインカメラとアウトカメラで撮影して投稿するSNSだ。通知は1日1回、ランダムな時間に送られてくる。投稿しなければ友人の投稿が見られないため、散らかった自室やバイト先の控室、すっぴんの寝起き顔など、普段ならSNSに投稿しない様子を共有する。BeRealの国内の月間利用者数(MAU)は430万人、14歳から27歳の利用者が97%を占めている。スマホネイティブ世代から熱烈に支持されているのだ。

mixi2 BeRealはインカメラとアウトカメラでほぼ同時撮影して投稿する

 2024年に入ってから、Instagramも友達との交流を深める新機能を多数リリースしている。ストーリーズだけでなく、フィードやライブ配信でも「親しい友達」限定で公開できるようになった。また、最大60文字という短文をDMの画面などに表示できる「ノート」を、リールやフィードにもつけられるようにし、親しい人と交流しやすい機能もリリースしている。

 「インスタ映え」する投稿を行ってフォロワーを集めることを良しとするのは、もはやインフルエンサーなど一部の人だけだ。多くのユーザーはInstagramでも閉じた仲間と深い交流を楽しんでいる。

mixi2 ひと言や音楽をシェアできるInstagramの「ノート」は友達と気軽に交流できる

 MIXIは、家族共有アルバム「みてね」も提供する企業だ。家族という究極のコミュニティの交流をネットでサポートしている。もちろん、mixiというコミュニケーションサービスを立ち上げ、継続している経験も十分にある。mixi2は他のテキストSNSと比較するよりも、クローズドSNSの1つとして見ていく方が適しているのだろう。

 クローズドSNSは、ユーザー数を急速に増やしにくい一面もある。マネタイズの面では、広告よりもサブスクリプションでの課金が向いているのかもしれない。いずれにしても、mixi2が次の一手をどう打つのか、大きな期待を寄せて注目したい。

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