nubia Zシリーズは「カメラ性能」を重視する商品を展開している。その中でも、換算35mm画角のメインカメラが差別化という意味でも特徴的だ。
一般的なスマートフォンが24mm前後を「標準」とすることが多い中、本機種では35mmを標準とした。普通の機種でいうところの1.5倍相当となり、ややズームした感覚で利用することになる。
Nubiaは、この「標準」画角を「広角より」と定義する。35mm画角のカメラはこれらに比べてゆがみを抑えられ、人物撮影などに有効だとしている。確かにスマートフォンのカメラ画角は一般的なカメラの感覚で使用すると広角に当たり、俗に「標準」と呼ばれる画角ではない。他社との差別化という意味も含めて理にかなっている構成だ。
35mmのメインカメラにはソニー製のIMX906というイメージセンサーを採用。レンズはF1.59と明るい上に可変絞り機構も備え、F1.59からF4.0まで調整できる。この手の絞り機構は日本発売機種では「Xiaomi 14 Ultra」に続く形で、スマートフォンとしての独自性は大きい。
超広角カメラは35mm換算で13mm、5000万画素の仕様。レンズはF2.0と超広角カメラとしては明るい。前作よりも広い画角となり、普通のスマートフォンの超広角カメラのように利用できる。
望遠カメラは換算で70mm、6400万画素の仕様。ショートカットでは85mmと表記されるが、実際は2倍の70mmで望遠カメラに切り替わる。レンズもF2.4と明るくなり、前作の課題だったテレマクロ撮影にも対応した。
この他、物理的なシャッターボタンも備える。長押しによるカメラの起動はもちろん、起動するカメラモードも選択できる。このボタンは半押し操作にも対応するので、カメラのような撮影体験が可能。AQUOS R9 proをはじめ、カメラ特化スマホにシャッターボタンを備える点はありがたい。
nubia Z70 Ultraでの作例は以下のようになる。この機種ではデフォルトのウオーターマークに画角が表示されるのでそちらを参考にしてほしい。
換算35mm(1.5倍)の画角がデフォルトなので、ゆがみが少ない点は優位だ。デジタルズームも比較的きれいに処理を行うため、1.5倍の50mmなどの画角でも画質が荒れる場面は少ない印象を受ける。
35mm画角に加えレンズがF1.59と明るいこともあり、背景はかなり大きくボケる。そのため、スマートフォンとしてはピントがかなりシビアな印象だ。ここは可変絞りをうまく併用することで、シビアで合わせにくいピント周りのピーキーさは抑えられている。
筆者は前作のnubia Z60 Ultraのレビューにて「一般に利用する点ではやや癖が強く、欲を言えば可変絞りが欲しいところだ」としているが、まさにこの希望が実現した。
5000万画素の超広角カメラもきれいに撮影できる。前作よりも性能は落とされているものの、画角的には13mm相当と広角になったことで一般の機種と同じ感覚で使いやすくなった。
ここの変化は前作が「一般的なスマートフォンのメインカメラ画角を補完する」ような設計思想だったものに対し、Z70 Ultraでは「35mm画角によりを重点に置く」思想に変化したことが変更の理由と感じる。
一般的なスマートフォンに多い換算24mmはこちらのカメラを用いて撮影することになる。初回起動時に35mmではなく24mmの設定にすることも可能だ。
望遠カメラは換算85mm(実焦点距離70mm相当)で6400万画素のイメージセンサーを採用する。ペリスコープ方式の望遠レンズを採用し、フラグシップに相応する高いズーム性能を備える。課題だったテレマクロ撮影も可能になり、撮影の幅が広がった。
ここで可変絞りを持つ「Xiaomi 14 Ultra」と比較してみる。両者ともに光芒の表現が可能だが、nubiaはややシャープな印象を受けた。手動での変更度合いは両者同じなため、操作感覚は両社ともに近い印象だった。操作系ではXiaomiがオート撮影時でも絞り制御が可能な点に対し、nubiaはストリートモードやマニュアルモードなどに限られる。
この他に「ストリートショット」というスライドスイッチから起動してサクサクと撮影できるモード、星空モード、マニュアルモードといった多彩な撮影モードを備える。
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