中国大手メーカーのZTEは、1月14日にnubiaブランドのスマホを2機種発表した。中心に据えたのが、フォルダブルスマホで2024年に発売された「nubia Flip 5G」の後継機にあたる「nubia Flip 2」。廉価スマホの「nubia S 5G」も披露した。いずれも、ソフトバンクのサブブランドであるY!mobileで販売される。ソフトバンク版のZTE端末はこれまでLiberoというブランドで展開していたが、2機種の投入に合わせ、名称をnubiaに統一する。
とはいえ、Liberoもソフトバンクが長く続けてきたブランドで、特にY!mobileでは主力シリーズの1つになっている。なぜソフトバンクやZTEは長く続けてきたブランドを変更するに至ったのか。その背景には、ブランドの知名度やZTEのグローバル戦略があった。ここでは、同社の発表した2モデルを改めて紹介するとともに、ソフトバンクやZTEの思惑を読み解いていきたい。
ZTEは、nubia Flip 2とnubia S 5Gの2機種を開発した。2機種ともY!mobileが取り扱うことを表明しており、前者は1月23日に発売される。nubia S 5Gは、発表と同日の1月16日から店頭に並んでいる。前者は、2024年に導入された「Libero Flip」の後継機。縦折り型のいわゆるフリップ端末の中で、群を抜いて安いという特徴はそのまま受け継いでいる。後者のnubia S 5Gは、「Libero 5G」シリーズを踏襲したエントリーモデルだ。
nubia Flip 2は、フリップ型端末の差別化要素になっている外側ディスプレイでLibero Flipとの違いを打ち出した。先代のLibero Flipは円形の外側ディスプレイを搭載していたのに対し、nubia Flip 2の3型外側ディスプレイは“縦長”に形状を改めた。これによって、スマホのアプリをほぼそのまま、外側ディスプレイに表示することが可能になっている。
一般的なスマホのメインディスプレイと比べると小さいものの、閉じたままでもほとんどの操作を行えるのがこのアスペクト比のメリットだ。例えば、PayPayなどの決済アプリは、支払いをするだけなら大画面である必要はない。マップのようなアプリは大画面の方が見やすいものの、閉じたままでも使えれば、道順をサッと確認しやすくなる。コンパクトな形状に折りたたむことができ、かつそのままアプリを使えるというわけだ。
縦長の外側ディスプレイは、先代のLibero Flipとの違いになるのはもちろん、他のフリップ型スマホとの差別化にもつながる。日本では、サムスン電子とモトローラの2社がフリップ型スマホを販売しているが、いずれも外側ディスプレイは横長。画面サイズはnubia Flip 2より大型だが、一般的なスマホに合わせて開発された縦長のアプリは表示しにくい。サムスンのGalaxy Z Flipシリーズに至っては、専用ツールでカスタマイズしないとウィジェット以外を表示できない。
ZTEジャパンの商品企画本部長のケ鵬(ピーター・デング)氏は「できるだけたくさんのアプリをサブディスプレイに対応してほしいというユーザーの声があった」としながら、「特殊な形状に合わせた(アプリの)ユーザーインタフェースの変更は必要なく、習慣を変えずにそのまま操作できる」とそのメリットを語る。フリップ型スマホの多くが、「機能が限られているウィジェット前提に設計している」(同)点を突いた格好だ。
また、インカメラの画素数を3200万画素に向上させた他、重量も214gから191gに軽量化している。ヒンジやメインディスプレイの強度も大きく向上させ、「フォルダブルスマホは壊れやすい」というイメージの払拭(ふっしょく)に努める。その分価格は上がってしまったが、ソフトバンクは新たにY!mobile向けの「新トクするサポート(A)」を導入。端末を2年後に下取りに出すことで、実質価格は1万9680円(新規/MNPの場合)(税込み、以下同)に抑えられる。あくまで実質価格だが、ここまで安いフォルダブルスマホは異例。そのコストパフォーマンスは健在といえる。
価格については、もう1機種のnubia S 5Gもインパクトが大きい。こちらは、いわゆるエントリースマホでスペックは低いが、指定したアプリを一発で起動できる「スマートスタートボタン」を搭載するなど、使い勝手に工夫を施した。また、nubia Flip 2と共通で「高機能通話録音」にも対応する。AIによる文字起こし機能も、アップデートで対応する見込みだ。nubia S 5Gは、5G対応ながら、一括価格は2万1956円。他社からのMNPだと、割引で1円まで価格が下がる。
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