realmeはMWC Barcelona 2025にて、スマートフォンのカメラ画質を劇的に向上させるためのコンセプトモデル「realme Interchangeable-lens Concept」を展示している。
このコンセプトモデルの狙いは端的にいうと、スマートフォンに外付けのレンズを取り付けて画質向上を図るというもの。MWC 2025ではXiaomiが「Xiaomi Modular Optical System」というコンセプトモデルを展示しているが、こちらは外付けのデジタルカメラそのものなのに対し、realmeはレンズ換装可能なスマホとして開発している。
realmeのコンセプトモデルは1型のイメージセンサーを採用する。センサーはむき出しの状態でレンズは備えない。カメラリングの突起を用いて後述のレンズマウンターを接続できる。外付けのレンズを付けるスマートフォン的な製品という意味では、弊誌でも紹介したYONGNUO YN455が最も近い商品だろう。
スマートフォンとレンズの接続には専用のマウントアダプターを用いる。展示されていた製品はライカマウントの仕様だったが、メーカーいわくニコンマウントなどに変更もできるという。実用する際は1型のセンサーにレンズの焦点距離を換算する必要があるので、撮影シーンに応じたレンズの選定は少々面倒になることにも言及していた。
画質のよさは、さすがといったところ。隣に置いてあったiPhone 16 Pro Maxと比較しても細かいディテールの表現で差を感じられる。レンズ交換式カメラの望遠レンズを使うだけあって、画質はデジタルズームのスマホでは到底及ばないレベル。そのような意味では、スマートフォンのレンズ設計がカメラ性能においてかなり重要であると伝わってくる。
少々力技だが、ズーム画質向上という意味では、余裕を持たせたレンズを組み合わせることは正攻法だ。なお、スマートフォンとレンズ間に電子接点は備えない。そのため、フォーカスや絞り制御は全て手動で行う必要がある。このあたりはコンセプトモデルらしい部分だと感じた。
realme Interchangeable-lens Conceptは技術的なアピールはもちろん、「もしも、スマホにレンズ交換式カメラの望遠レンズをつけたらどうなる?」というマニアが考えるであろうアイデアを形にしてきた点は評価したい。
正直、製品としては難点もある。例えば望遠レンズではマウントの強度的に支えきれず、マニュアルフォーカス前提という操作性の悪さもある。レンズ選定のハードルも高く、撮影の手軽さを求めるスマホとは真逆の発想である。
一方で、本体カラーやレンズマウントをライカ系にしてくる点をはじめ、本機種はXiaomi 15 Ultraを強く意識していることも明白。realmeには他社のようなカメラ特化スマートフォンがラインアップに存在しないこともあり、さらなるハイブランド化を行うなら、このセグメントへの機種導入は必須と考える。このコンセプトから派生して、今後カメラ性能を重視したラインアップが登場するかもしれない。
スマートフォンのカメラ進化において、1つロマンある形を示してくれたrealme。多くのスマホがひしめく今の市場において、1機種くらい変わり種がいたら他社との差別化もできると考える。対応する機種が登場したら手に取ってみたいものだ。
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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