ユーザーインタフェースは異なるが、似たようなエージェント型のAIは、ZTE以外にもさまざまなメーカーが搭載を目指しているようだ。Huaweiからスピンアウトした中国メーカーのHONOR(オナー)は、MWCのブースで「HONOR AI」を展示。こちらはZTEのnubia AIとは見せ方が異なり、チャットをしながらユーザーの目的を聞き出し、最終的にアプリを操作する形だった。
ユーザーが「レストランに行きたい」というようにあいまいなお願いをすると、HONOR AIは「何が食べたいのか」といった形で料理を特定しようとする。続けて、食事を始めたい時間や人数を聞いてくる。これらの質問に答えていくと、レストラン予約アプリのOpenTableが立ち上がり、会話に沿った形で自動的に予約を進めてくれる。
また、モトローラも「moto ai」を拡張する形で、同様のAIエージェントを搭載する予定だ。モトローラのそれは、カメラを通じて画像解析をしながら、特定のアプリの操作をAIが肩代わりするとういもの。デモでは、バルセロナ市内のグエル公園に置かれたオブジェを見せつつ、「ここに行きたい」と言うだけで、Uberを自動的に手配してくれる様子を見ることができた。
やろうとしていることはZTEのnubia AIに近いが、カメラを通して見せた映像を解析しつつ、そのままアプリにつなげる点では、より洗練されたユーザーインタフェースといえる。Galaxy S25シリーズやPixelのGeminiによるアプリ連携よりも、一歩進んだ形で、AIがスマホの操作そのものを肩代わりしてくれるようになろうとしているというわけだ。
こうした取り組みが進んでいくと、スマホの使い方が大きく変わっていくはずだ。同時に、アプリ側もエージェントAI時代に備えておく必要性が高まっている。Geminiのアプリ連携にせよ、ZTE、HONOR、モトローラのアプリ操作にせよ、AIから呼び出されないアプリは存在しないのと同じになってしまう。これは、ユーザーだけでなく、そのユーザーが使うAIにも選ばれるよう、アピールしていかなければならないことを意味する。
アプリ開発者には、上位レイヤーでサービスを提供するキャリアも含まれる。冒頭でコメントを引いたドコモの前田氏は、2025年度内にコンシューマー向けのAIエージェントを開始することを明かしたが、これもAI時代のスマホに自社のサービスを使ってもらう上で、必要な取り組みなのかもしれない。エージェント型AIが浸透していくことで、アプリをベースにしたスマホのエコシステムが大きく変わる――。2025年のMWCは、そんな可能性が垣間見えたイベントだった。
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