端末を支えるプラットフォームともいえるQualcommも、プロセッサやソフトウェアでAIエージェントの開発をサポートする。同社は、MWCのブースにおいてデバイス上で動くAIエージェントのデモを披露した。これは同社が提供する「Qualcomm AI Orchestrator」を使って開発されたもので、ユーザーのパーソナルデータを踏まえつつ、質問に回答したり、API経由でアプリを動作させたりすることができる。
Qualcommのデモでは、SMS内で言及されているアーティストの名前をAIエージェントに調べてもらい、そのまま文脈を引き継ぐ形で、そのアーティストの楽曲を再生するといった流れを確認できた。ユーザーのことを把握し、秘書のように振る舞うAIと会話することで、スマホに搭載されている必要な情報を引き出し、立ち上げたい機能をすぐに呼び出せるというわけだ。
これは、あくまでQualcommが同社のプロセッサを採用するメーカーに向け提供しているもので、ユーザーに直接提供されるというわけではない。一方で、MWCで発表された各メーカーのスマホには、既にAIエージェントと呼ばれるような機能が実装され始めている。
例えば、中国メーカーのZTEは日本でも代理店を通して販売されている「nubia Z70 Ultra」に「nubia AI」を組み込み、その機能をアピールしていた。ZTEは「AI for All」を戦略に掲げており、ローエンドモデルからハイエンドモデルにまで、一気通貫でAI機能を搭載しようとしている。nubia AIには「アプリケーション&システムコントロール」という項目があり、これを使うことでAIエージェントがアプリを直接操作できる。
先に挙げたQualcommのAIエージェントは、チャット内にAPIを通じて各アプリから引き出した情報が載る形だが、nubia AIはそれとは異なり、AIがアプリ自体を直接操作する。一例を挙げると、「バルセロナ空港までここからタクシーで行きたい」と話しかけると、自動的にAIがUberアプリを立ち上げ、行き先を指定したあと、車種を選択する最終確認の画面まで自動で進めてくれる。ここまでを手動でやろうと思うと、何度も画面をタップし、文字も入力しなければならないが、nubia AIであれば直接目的を告げるだけで済む。
デモでは、Booking.comアプリもnubia AIに対応していた。こちらのケースでは、「バルセロナのカタルーニャ広場の周辺で、4月1日から4月5日まで宿泊したい」と話しかけると、AIが自動的にBooking.comを立ち上げ、場所や日程を選択した後、候補を表示してくれた。複数アプリの連携も可能で、表示している観光地の写真の説明を聞いた後、「そこに行きたい」というと上記のようにUberを操作してくれる。
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