米Googleは3月19日(現地時間)に「Google Pixel 9a」を発表した。「Pixel 9」シリーズの廉価版とはいえ、プロセッサにはPixel 9シリーズと同じ最新のTensor G4を搭載。それでいて、価格は大幅に安い499ドル(約7万4100円)からとなっており、お買い得感が高い端末といえる。
Pixel 9シリーズから1年もたたないうちに新モデルが登場した形だが、スペックの近いPixel 9、先代の「Pixel 8a」と比べて何が違うのか気になる人もいるはず。そこで、この記事ではPixel 9aとPixel 9、そしてPixel 8aのスペックを比較する。
まずはプロセッサから見ていく。Pixel 9aはPixel 9と同じTensor G4を搭載する。こちらは1枚チップにCPU、GPUの他、機械学習ベースのAI(人工知能)処理を担う「TPU(Tensor Process Unit)」と、カメラのイメージセンサーから入力されたデータを映像に変換する「ISP(Image Process Unit)」などを結合したものだ。
特にAI機能が強化されるPixelにおいて、プロセッサの進化は重要だ。aシリーズとしてはPixel 8aのTensor G3から進化した格好だが、単なる性能向上だけでなく、AI機能を快適に利用できる他、写真と動画の画質向上なども見込める。加えて、独自設計のセキュリティチップTitan M2を組み合わせることで、強固なセキュリティを確保しているという。
メモリはPixel 9が12GBだが、Pixel 9aはPixel 8aと同じ8GBとなっている。ストレージはPixel 8aが128GBのみだったのに対し、Pixel 9aでは128GBと256GBから選べるようになった。
動画や写真をたくさん保存したい人にとっては256GBでも足りないだろうし、microSDの搭載もできない仕様のため、256GBでも足りない場合はクラウドストレージを活用するのがいいだろう。
続いてカメラをチェックする。インカメラは約1300万画素でPixel 8aからの大幅なアップデートはない。アウトカメラはデュアル構成で、広角カメラの画素数はPixel 8aからダウングレードしたものの、F値に変更があり若干明るい写真を撮影できそうだ。
新機能として、aシリーズでは初めてマクロフォーカス機能を搭載し、細部まで鮮明に撮影できるようになった。また、アウトカメラを収めるカメラバーはPixel 9やPixel 8aにはあるが、Pixel 9aの背面はフラットなデザインとなり、よりスッキリとした印象を与える。
ディスプレイは3モデルともに液晶ではなく有機ELを搭載する。サイズはPixel 8aの6.1型より0.2型大きい、Pixel 9と同じ約6.3型の有機ELを採用。輝度はPixel 8aと比べて35%向上し、リフレッシュレートは60〜120Hzの可変式となっている。
解像度はPixel 8aが1080×2400ピクセル、Pixel 9aがPixel 9と同じ1080×2424ピクセル。アスペクト比は20:9で3モデルとも横並びだ。カバーガラスはPixel 9がCorning Gorilla Glass Victus 2なのに対し、Pixel 9aはPixel 8aと同じCorning Gorilla Glass 3を採用。Corningが2013年に発表した資料によると、強度や耐傷性は前世代より向上している。
【訂正:2025年4月10日16時35分 初出時、Pixel 9のカバーガラスの説明に誤りがありました。おわびして訂正いたします。】
バッテリーの容量はPixel 8aが4492mAh、Pixel 9が4700mAh、Pixel 9aがさらに多い5100mAhとなっている。Googleによると、Pixel ユーザーのバッテリー使用量プロファイルの中央値と、米国の主要なキャリアネットワークを使用し、通話、データ通信、待受、その他の機能の使用を組み合わせた試験を実施した結果、Pixel 9aでは30時間以上の駆動を見込めるそうだ。
3モデルともにワイヤレス充電が可能だが、他のデバイスに対してワイヤレスで給電するバッテリーシェアについてはPixel 9でのみ行える。
防塵(じん)・防水レベルについて、Pixel 8aは「6=粉塵が内部に侵入しない」、防水等級が「7=一定の水圧で一定時間(30分間)水中に浸けても有害な影響がない」でIP67等級にとどまるが、Pixel 9aはPixel 9と同様に防塵等級が「6=粉塵が内部に侵入しない」、防水等級が「8=連続的に水中に置いても有害な影響がない」でIP68等級となっている。
プリインストールOSはPixel 9とPixel 8aがAndroid 14だったのに対し、Pixel 9aは最新のAndroid 15となっている。なお、OSのアップデートや新機能提供(Feature Drops)、セキュリティ更新が最長7年間提供される点は変わらない。
最後にサイズと重量をチェックする。Pixel 9aはディスプレイの大型化により、横幅が3モデルの中で最も長い。Pixel 9と比較して1.7mm、Pixel 8a比で1mm増えた。高さはPixel 9より2.1mm、Pixel 8aより2.8mm高い。厚さはPixel 9から1.66mm、Pixel 8aから1.26mm増した。重量はPixel 9より11g、Pixel 8aより2g軽い。
予算に余裕があり、大画面の端末を求めるなら「Pixel 9 Pro XL」も選択肢に入るだろう。一方、春商戦期に登場した「Pixel 9a」は、横幅や厚さがやや気になるものの、シリーズの中では比較的小型で手頃な端末といえる。
スペック面ではPixel 8aから大幅な進化とは言いがたいが、Pixel 9譲りの強力なAI機能を手頃な価格で利用できる点は魅力的だ。特に、初めてPixelを購入する人にとっては、第一候補となるはずだ。
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