公正取引委員会(公取委)は4月15日、Googleに対して独占禁止措置法に基づく排除措置命令を行った。Googleが取引先企業(端末メーカーや通信事業者)に対して「拘束条件付取引」を行っている事実を確認できたことに伴う措置で、違反行為の取りやめの他、「将来不作為」などの徹底を求めている。
公取委は2023年10月23日、Android端末を製造/販売するメーカーや通信事業者との契約内容について、Googleに対する審査を開始した旨を公表した。
審査に当たり集めた意見や情報、そして海外の競争機関との情報交換の結果を踏まえて、公取委はGoogleが少なくとも2020年7月から2つの契約によってAndroid端末上で他社の検索エンジンを実装させないように働きかけていたと認定し、これが独占禁止法第19条で禁止されている拘束条件付取引に該当すると判断した。
独占禁止法第19条で禁止されている取引条件の1つで、取引相手あるいは「取引相手の取引相手」の事業内容を不当に拘束するもの。
Android端末に「Google Play」をプリインストールしたい場合、メーカーと通信事業者はGoogleと「Mobile Application Distribution Agreement(MADA)」と呼ばれる利用許諾契約を締結する必要がある。
GoogleはMADAにおいて以下の2点をメーカーや通信事業者に要求していたという。
AndroidスマートフォンにGoogle Chromeをプリインストールした場合、端末メーカーと通信事業者はGoogleの検索広告で得られた収益の一部を共有する「Google Mobile Revenue Share Agreement(MRSA)」を締結できる。
端末メーカー/通信事業者との収益共有プログラム(RSA)はMSRA以外にもあるようだが、いずれにおいてもGoogleは収益分配を行う条件として以下の内容を課していたという。
上記2つの違反が認定されたことを受けて、公取委はGoogleに対して以下の排除措置命令を出した。
これらの措置により、公取委は「アプリの配置や検索設定についてメーカーや通信事業者の選択肢を確保し、検索事業者間の競争が促進される」としている。
(※1)独占禁止法違反を認定された取引条件(内容)について、取引先との合意のもと今後履行しないこと
公取委による排除措置命令を受けて、Googleは4月15日に日本法人(グーグル)のブログで声明を発表した。
声明でGoogleは日本市場への強いコミットメントを行ってきたことを強調し、公取委の措置命令に「遺憾の意を表明」している。
同社は公取委が求めているMADA/RSAの条件見直しについて「日本のスマートフォンメーカーや通信事業者は、Googleとの取引を強制されていません。彼らは、Googleが最高のサービスを提供していることを踏まえ、自らの事業や日本におけるユーザーにとって最良の選択肢として、自らGoogleを選択しているのです」としており、あくまでも“任意の”契約である旨を主張する。
その上で、今回の命令について慎重に検討した上で、「Androidが日本の消費者、スマートフォンメーカー及び通信事業者にとって競争力のある選択肢であり続けられるよう、公正取引委員会と協力して取り組んでまいります」としている。
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