Opensignalが、半期に1度出している国内キャリア評価レポートを発表した。今回もauの圧勝で17部門中11部門でトップを獲った。ちなみに前回のレポートでは18部門中13部門でトップとなっていた。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年4月26日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
ここで気になるのが、1つ部門が減っているという点だ。この減っているのは「一貫した品質」という部門で、Opensignalによれば、調査期間中にiOSのアップデートがかかり、調査するのが難しくなったとのことだ。今後、この部門は復活するという。
ただ、日本市場においてはこの「一貫した品質」は今回、最重要ともいえる部門であった。NTTドコモの前田義晃社長が昨年6月に開催された社長就任会見で「2024年度末までにOpensignalでナンバーワンを目指す」をハッキリと約束していたのだった。しかも、このナンバーワンを獲ると公言していたのが「一貫した品質部門」だったのだ。
今回、「一貫した品質部門」でNTTドコモがナンバーワンを獲得できたのかに注目が集まりかけたが、まさか部門がまるごと消滅するとは思いも寄らなかった。
まさにNTTドコモとしては首の皮一枚、つながったことになる。
ただ、昨年6月の段階で、NTTドコモがOpensignalの「一貫した品質」において1位を獲れるなんて、誰一人とも信じていない。仮に今度の10月に獲れなくても文句が出ることはないだろう。
今回、新料金プランの発表により「irumo」が消滅した。irumoには0.5GBプランが存在し、0.5GBを超え、通信制限がかかった状態でも使っていたユーザーがいたと思われる。そうしたユーザーがOpensignalの調査対象となれば、ユーザー体感品質を落とすことになる。
今回、irumoがなくなったことで、将来的にはNTTドコモユーザーの体感は上がっていくだろう。また、Opensignalでは「NTTドコモでは3Gも含まれている」とわざわざ明記されている。当然、3Gにつながっているユーザーがいれば、それだけ品質は落ちる。NTTドコモの3G停波は2026年3月末であり、あと1年は辛抱しなければならない。
ソフトバンクも宮川潤一社長が技術陣の尻を叩いているというが、結果は芳しくない。Sub6の2枠目の運用も2030年からとかなり先だ。
そう考えると、auの優位はしばらく続くことになりそうだ。
モバイル通信の体感品質はauが優秀、ドコモの「一貫した品質」1位挑戦は次回に持ち越し Opensignalが発表
山手線周辺の5G通信品質はソフトバンクがトップ Opensignalが調査
4社のネットワーク調査でauが圧勝、「一貫した品質」でソフトバンクを上回る その中身をOpensignalが解説
なぜ、KDDIは通信品質調査でソフトバンクを抜いた? 「ドコモ、楽天モバイルとは異なる戦法」とは
KDDIの通信品質が高評価に Opensignal調査の全18部門のうち13部門で1位 「国内MNOでは最多受賞」© DWANGO Co., Ltd.