2019年10月に電気通信事業法が改正されたことで、日本の携帯電話の販売方法に変化が見られた。一方で、この変更によって全てのスマートフォンが大きく値上げしたわけでもない。ここではiPhoneとXperiaのドコモ版と直販版における価格推移を見ていこう。
2020年のiPhone 12が直販版で9万4380円に対し、2023年のiPhone 15が12万4800円。同じく直販版のXperia 5 IIが11万4400円に対し、Xperia 5 Vが13万9700円。値上げ幅はiPhoneが3万420円、Xperiaで2万5300円となっており、この4年間でそれぞれ値上げしている。
これはキャリア版でもおおむね似たような傾向だ。キャリア向けは一般に直販モデルよりも高価になる傾向だが、こちらの値上げ幅も同じように大きくなっている。それでもiPhone 15はキャリアの値上げ幅も1万7000円ほどと、2万7000円のXperiaと比較しても抑えられており、「売れ筋」の商品は価格差を抑えているという見方もできる。
一方で、フラグシップとなれば話が変わってくる。ここでは2020年と2024年のiPhoneのPro MaxシリーズとXperia 1シリーズの価格と値上げ幅を確認してみよう。
iPhoneは価格をそろえるため、iPhone 12 Pro Maxは256GBの価格を採用している
ここでは特にiPhoneの値上げ幅が大きい。米国定価は変わらないので、直販版の4万8000円の増加はそのまま為替の変動分とみてよい。一方でドコモ版の値上げは実に8万916円とかなり大きい。直販版との価格差も約1万5000円だったものが、4万7000円と実に3倍以上に広がった。
Android端末のXperiaも直販版の値上げ幅は5万2800円に対し、こちらもドコモ版は8万5888円と大きい。こちらは2020年のXperiaを優位とした価格設定も大きいが、これに加えて本体容量の増加、5Gのミリ波対応といった外的要因もある。
両者ともに為替の影響は大きいが、キャリアの値上げ幅もかなり大きい。これは2019年の法改正にて通信と端末の分離化が行われたことで、通信契約側で値引きしていた部分がそのまま端末に転嫁された。加えて、高価な機種は2年縛りの撤廃を理由に従来よりも数も出ないことから、キャリアの上乗せが大きくなっているように感じられる。
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