今、ハイエンドスマホの価格が高騰している理由 約20万円は許容できる?(1/3 ページ)

» 2022年06月29日 10時30分 公開
[はやぽんITmedia]
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 円安の影響もあり、さまざまな商品の値上げが続くこのご時世。スマートフォンもまた例外なく値上げの傾向にある。今回は、スマートフォンの価格がなぜ高騰しているのかを考察した。

5年で倍近い値上げとなったスマートフォンも

 スマートフォンの値段の変遷について、iPhoneとAndroid端末(Xperia)にて、過去5年間の価格変動を簡単にグラフで示した。今回iPhoneについては2017年のiPhone Xを除き大画面モデル(Maxシリーズ)で256GBのものを、Xperiaではその年の最もハイエンドに位置する端末で比較する。

スマートフォン高騰 ドコモが販売しているiPhoneとXperiaの価格推移

 価格グラフを見ると、2021年からの急激な価格上昇が目立つ。2022年の新型iPhoneは未発表だが、昨今の為替相場を考慮すると値上げは避けられないと考える。

 約19万円という価格が話題となったXperia 1 IVだが、4〜5年のサイクルでスマートフォンを検討するユーザーからすると、2017年に発売されたフラグシップモデル「Xperia XZ Premium」と比較すると、2倍近い価格差となっている。

Xperia 1 IV 一括価格が税込み19万872円で販売されているドコモの「Xperia 1 IV」

背景には部品数の増加や高品質化 半導体不足も影響

 端末価格高騰の背景には部品数増加がある。カメラの多眼化や5G対応などもあり、数年前に比べて実装部品数は増加している。加えて、機種によっては各種独自開発の部品の採用例もあり、モノによっては複数のベンダーとの共同開発していることもあるので、コスト増の要因となっている。

スマートフォン高騰 近年のハイエンドスマホは4つのカメラを搭載する機種も珍しくはない

 大型イメージセンサーを採用した強力な手ブレ補正機構搭載のカメラ、120Hzのリフレッシュレートに対応した色表現に優れる有機ELパネル、急速充電に大容量バッテリーの採用など、従来の実装部品に比べて高コストになっているものもある。特にイメージセンサーは複数採用されることもあって、部品コストの上昇は顕著だ。

 一部ではメーカー独自設計のプロセッサを備えるスマートフォンも出ており、このような取り組みはコモディティ化するスマートフォンにおいて、競合他社への差別化となる。

 昨今の半導体不足の影響も価格高騰に響いている。ハイエンドスマホ向けのプロセッサは「先端半導体」とも呼ばれ、非常に高度な技術にて製造されている。一方で生産可能なメーカーがサムスンやTSMCに限られること、競合製品とのラインの関係で全ての設備を割けないこと、製造方式の変更直後は歩留まりがあまり良くない点が指摘されている。

 加えて、製造設備のライン構築にも多大な投資が必要で、単価コストも上昇している。この先端半導体を求める企業は多く存在することから、各社で取り合いになっている状態だ。ソニーのXperiaやシャープのAQUOSは販売台数的にもGalaxyやXiaomiの同セグメントに比べて少ないため、部品の調達価格そのものが高いと想像される。

 デザインについても金属ボディー、背面パネルはガラス加工が一般的になり、プラスチック製の樹脂だった頃に比べると製造コストは高騰している。さらに近年ではマットガラスの加工がiPhoneを始め採用されている。このガラスは割れやすく加工が難しいため、通常のガラスよりもコストがかかる。

Xiaomi 12 Xiaomiのハイエンドスマートフォン「Xiaomi 12」

 比較的安価な路線を突き進んできたXiaomiでも、現在のハイエンドであるXiaomi 12は約7万円〜の価格設定だ。これは4年前のXiaomi Mi9の約5万円台から高騰しており、スマートフォンの価格高騰はメーカーを問わず世界的に見ても共通だ。

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