2024年にXperia 5シリーズの投入をやめ、ハイエンドモデルをXperia 1シリーズに一本化したことや、端末のフルモデルチェンジを行ったことが評価され、2024年に発売されたXperia 1 VIIは、「『Xperia 1 V』比で、120%の販売数を記録することができた」(ソニーマーケティング モバイルビジネス 執行役員 本部長 大澤斉氏)と販売は好調だったようだ。大澤氏も、「この数から、幅広いお客さまに受け入れられたと認識している」と語る。
Xperia 1 VIIがXperia 1 VIの基本コンセプトを踏襲しているのは、そのためだ。「クリエイターを中心に、商品や体験をきちんと使っていただける方に使っていただくのが第一目標。そのお客さまにご満足いただける商品を提供するのが基本戦略」だと語る。好評だったコンセプトは維持しつつも、動画性能の向上や音楽再生の高音質化を図った狙いもここにある。
一方で、2024年はXperia 1 VIと同時に発表されたXperia 10シリーズの投入は、秋に先延ばしされたようだ。ソニーによると、「市場動向や社内的な開発の面で総合的に判断した」という。上記のように、2024年はXperia 5シリーズが発売されず、ラインアップが2機種に絞られていた。ソニーとして、秋冬の商戦期に向けた端末が不在になっていた格好だ。同時期に投入すると、ミッドレンジモデルに注目が集まりづらくなる面もあるため、あえて発売時期を変更したようにも見える。
ソニーでXperiaの開発チーム率いるモバイルコミュニケーションズ事業部 事業部長 大島正昭氏は「モバイルコミュニケーション事業の運営をより効率的にするということで、サイクルの見直しを行っている」と話す。「Xperia 10シリーズは感動体験の入口として、大事に捉えている」(同)というように、ミッドレンジモデルはより幅広いユーザーを狙える。時期を分散させたことで、これまで以上にXperia 10シリーズの販売に力を入れていく可能性がある。
前モデル比120%と好評だったXperia 1 VIだが、ソニー全体では販売台数が低下しているのも事実。大澤氏も「実際、一元的に見ると、シェアは下がっている」と認める。調査会社MM総研が5月に発表した『2024年度通期 国内携帯電話端末の出荷台数調査』では、ソニーがトップ6のメーカーから外れ、「その他」にまとめられるようになってしまった。
2023年度の同調査ではスマホで5位、携帯電話端末全体でも6位に入っていたが、Xiaomiやレノボ傘下になったFCNTにポジションを奪われている。フラグシップモデルの販売が伸びた半面、その他の端末の売れ行きが鈍ってしまった格好だ。ただし、これは、ソニーが販売面での戦術を変え、いたずらに数だけを追わなくなったことの結果だという。
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