―― 今回、新たにMシリーズも投入します。こちらはどういう位置付けなのでしょうか。
鄭氏 グローバルで最も(性能が)低いエントリーモデルは、日本市場とお客さまのニーズを踏まえて出していません。POCOらしさはちょっと足りないかもしれませんが、Mはその上の端末で、エントリー層を狙う端末です。
片山氏 日本だとXiaomiのファンには若い方も多い。10代の方にも、XiaomiやPOCOを知っていただけています。性能だけでいえばFシリーズを使うのがベストですが、バランスを取ってXがいいという人もいれば、Xにはギリギリ手が届かないという方もいます。また、ガジェットは好きでもゲームはやらないという方もいます。最低限の性能でこの価格というのは、ガジェットが好きな方からも評価されています。
―― 若い人は、どういう経緯でXiaomiやPOCOのことを知るのでしょうか。
片山氏 4月頭にオフラインイベントを開催しましたが、そこには10代の方や中学生の方もいました。初めてのスマホを選ぶ際に、親に与えられたのがRedmiシリーズだったという方がいたり、スマホを選ぶ時に最初はiPhoneに目が行ったものの、予算の都合で買えないので自分で調べていくうちにXiaomiやPOCOにたどり着いた方がいたりと、経緯はさまざまです。ただ、親御さんもガジェットやテクノロジーが好きな方が多いですね。いろいろなAndroidスマホを触ってきた方が、お子さんにもそれという形で与えているようです。
―― やはりいきなりオンラインで購入するのはちょっと怖いという方も多そうですが、実際に見たいというニーズはイベントなどで満たしていくようなイメージでしょうか。
片山氏 直近だと先ほど申し上げた2店舗に展示されていますし、店舗が増えた場合も、現時点ではPOCOを置いていく予定です。あとは、オフラインのイベントですね。4月だけなく、2月にもクローズドな形でゲーム系のイベントを実施しました。そういった形でなるべく触っていただき、一般の方の声が広がっていく施策は今後もやっていければと考えています。
―― その意味でも、Xiaomi Storeは重要ですね。
鄭氏 そうです。
―― それにしても、POCOはコストパフォーマンスが高いと思います。なぜここまで価格を落とせるのでしょうか(※最上位モデルのPOCO F7 Ultraが9万9980円から)。
鄭氏 チップセットやメモリを見ると、価格が安いと感じるはずです。逆に、実際に体験していただければ分かりますが、Xiaomiのハイエンドモデルにはライカがありますが、POCOにはなく、もう少しコスパの高いセンサーを使っています。また、一部のソフトウェアはXiaomiから流用しています。そういったところで部材のコストや開発コストを落として、価格を削減できています。
片山氏 テック好きの若い人がターゲットで、世界中のユーザーから声を拾っています。そういった層の中には、使う機能と使わない機能が存在します。例えば、今回出したものでいえば、eSIMには対応していません。直近で使っているユーザーからフィードバックをいただいたり、アンケートを取ったりする中で、利用頻度が低いものはあえて入れない。そういう取捨選択をしています。
逆に、昨年までは防水がないモデルも多かったのですが、それはニーズが高かったので等級を高めるようなことをしています。Xiaomi以上にフィードバックを受けながら、いるもの、いらないものを精査しています。
―― カメラでいうと、ライカの味は出ないものの、画質はいいというようなことですね。
片山氏 はい。Xiaomiはそれこそ全部盛りとまではいいませんが、eSIMも入っています。日本だとFeliCaこそありませんが、スマホにあるべきものを全て詰め込んでいる。ライカの協業も含めて、どうしてもコストは上がってしまいます。POCOは、その取捨選択をしているからこそ、差別化ができる。ハイエンドに求めるものが違うということです。
―― となると、やはりFeliCaは難しそうですね。
片山氏 長期的にどうなるかは分かりませんが、現状だと、ガジェット好きやテック好きは2台持ちが当たり前です。モバイルSuicaやマイナポータルがどうなるかにもよりますが、交通系ICは首都圏以外のニーズが低いこともあります。そういった意味もあり、現状では入れていません。
鄭氏 その代わり、価格を抑えたり、投入時期を早めたりといったことができています。
片山氏 ファンの方は、われわれより情報が早いこともありますからね。中国で発売されたPOCOのベースモデルを見て、「いつ出るんですか」と言われることもあるので、投入時期に関してはかなりセンシティブに見ています。グローバルで出たモデルから間が空いてしまうとファンの方が他に目移りしてしまったり、先にグローバルモデルを買ってしまったりする。メーカーとしても、日本で使えるようにして提供したいという思いはありますので、そういったファンの声に応える意味でも投入時期を早めていますが、逆にローカライズの優先順位はかなり低くなっています。
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