―― 確認になりますが、ゲーミングの性能を強調することもありますが、ゲーミングスマホではないという理解でよろしいでしょうか。
片山氏 Mシリーズもありますので、必ずしもゲームではありません。最初に投入した「POCO F4 GT」にはポップアップのLRボタンがあって、ゲーミングスマホのようでしたが、全体的なニーズを吸い上げると、やはりゲームもやるが写真も撮るという方が多い。Fシリーズには、ライカこそ載っていませんが、これまで培ってきた技術はかなり入っています。実際、テレマクロはキレイに撮れますし、グローバルの発表会でも、カメラのパートには相当な時間を割いています。
鄭氏 ゲーミング目的のラインアップではありませんが、基本性能が高いことを訴求する際にはゲームが分かりやすい。一方で、最近はAIにも基本性能が求められるので、POCO X7 Proを発表する際には、そちらの機能もアピールしました。
―― ブランドとしては、Xiaomi、Redmi、POCOとありますが、現時点ではXiaomiとRedmiがXiaomiというくくりで、POCOはしっかり分かれているような印象です。XiaomiのPOCOというような言い方はあまりしないのでしょうか。
片山氏 現時点ではしっかり分けています。おっしゃるように、RedmiはXiaomiのRedmiという言い方をしますが、POCOではあまりそのような言い方はしていません。あえて伏せているわけではありませんが、サブブランドとして独立した動きをして、SNSもアカウントは分けています。ロゴも併存できないルールになっていて、そこはRedmiと大きく違うところです。
―― 本格展開で機種数が一気に増えたので、オペレーションがかなり大変になったのではないでしょうか。
鄭氏 POCOはオンライン限定ということもあるので、販売チャネルのバランスや施策を出すときのオペレーションは、XiaomiやRedmiより少しやりやすいですね。そこは部署にもよります。リテール部門はあまり大変ではない一方で、マーケティングは機種数分やらなければいけないので大変というのはありますが(笑)。グローバルのものを極力そのままの形で持ってきているので、開発工数も少ない。そういったことがあるので、数が4倍になったからといって、労力が4倍になることはありません。
―― グローバルに共通していると、足りなくなったときすぐに持ってきて在庫を補充できたり、逆に余ったら戻したりということもしやすくなるのでしょうか。
鄭氏 戻すのは物流コストがかかってしまうのでやりませんが(笑)、そういうメリットはあります。100%同じというわけではないものの、カスタマイズしたモデルより調整はしやすいですね。ただ、グローバルでも人気があるので、調整するためのプールが少ないのですが……。
―― 売れ筋の傾向が違うと調達しやすくなりそうな気もしましたが、そのあたりはどうでしょうか。
鄭氏 傾向は日本と似ています。発売してそんなに時間がたっていないこともありますが、今回のPOCO X7 Proは商品性やプライシング、タイミングが全て当たっています。昨年のPOCO F6 Proもそうですが、グローバルでも人気がありました。どのレンジの商品がというわけではなく、商品性とプライシングなどの総合的な結果になることが多いですね。
片山氏 タイミングもよかったです。こと日本に関しては、新生活の時期で、実際、進学祝いに買ってもらったという高校生の方もいました。
鄭氏 あとは、Xシリーズが日本初上陸だったというのもあると思います。
―― とはいえ、まだまだ販売数が少なく、店頭にも並んでないとなると、アクセサリーの種類が増えづらそうな印象も受けました。このへんは、サードパーティーに働きかけていくのでしょうか。
鄭氏 ニーズの高いアクセサリーを購入できるチャネルは作っていきます。サードパーティーとも話はしています。
片山氏 iPhoneがいいのはまさにそこで、われわれはまだ難しいところですが、ユーザーの声を聞くと、付属のケース以外のこじゃれたものが欲しいというニーズは確かにあります。純正だけでなく、国内外のパートナーも含めてやっていきたいと思います。
―― 根本的な話になってしまいますが、諸外国と比べると、日本のEC化率は低いというデータもあります。オンライン専用の支障にはならないでしょうか。
鄭氏 全体の規模で10%ぐらいですね。欧州で16%、中国では27〜28%ぐらいなので、そういうところと比べると、確かにオンラインの規模は大きいとはいえません。また、日本は通信事業者の市場が一番大きい。一方で、オンラインのニーズは確実に存在しています。Amazonも数年前からApple製品を販売していますし、事業法の(ガイドライン)改正でSIMフリーを買う人もだんだん増えている印象があります。オフラインで体験してもらい、オンラインで購入するという流れにしていきたいですね。
オンラインという身軽な販路を生かし、XiaomiやRedmi以上にタイムリーに展開していくのがPOCOシリーズの特徴。インタビューからは、投入タイミングをかなり強く意識していることがうかがえた。XiaomiやRedmiよりコストパフォーマンスは高いため、より性能のいいスマホをリーズナブルに使いたい人にはいい選択肢が増えた格好になる。
ただ、初物をオンラインで買うのはなかなか勇気がいるのも事実。スマホの場合、操作感などのフィーリングも大事になるため、これからPOCOを知る人にどう訴求していくかは課題になる。この点は、家電量販店などでも気軽に触れるXiaomiやRedmiとの大きな違いだ。不定期で開催しているイベントの頻度は、もっと高めた方がいいような気はした。POCOシリーズを販売するMVNOとタッグを組むなど、さまざまな手を打っていく必要がありそうだ。
Xiaomiがハイエンド「POCO F7 Ultra/F7 Pro」発売 最上位モデルが9万9900円から、コスパを徹底追求
Xiaomiが「POCO X7 Pro」発売、4万9980円からのゲーミングスマホ 新チップ搭載で“圧倒的コスパ”を訴求
Xiaomi、ミドルレンジスマホ「POCO M7 Pro 5G」発売 早期購入で2万9980円
ハイエンドスマホ「POCO F6 Pro」が6万9980円からの衝撃 “オンライン特化販売”は日本で根付くか
Xiaomiが「POCO F6 Pro」を発売 Snapdragon 8 Gen 2搭載で6万9980円から、ゲーミング要素は控えめに
狙うは“原点回帰” テクノロジー愛好家向けブランド「POCO」を日本導入するXiaomiの狙いを聞くCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.