モバイルバッテリーや充電器でおなじみのAnkerが、初のカフェ業態「Anker Store & Cafe 汐留」を5月24日にオープンする。「充電できるカフェ」は珍しくないが、全50席に65W出力の充電器とケーブルを完備し、さらにQi2対応ワイヤレス充電まで組み込んだカフェとなると前代未聞だ。5月23日の内覧会で一足早く体験してきた。
最大の特徴は、何といっても充電環境の充実度だ。各席にはUSB Type-CとLightningケーブルが標準装備され、合計65W(45W+20W)の出力に対応。USB Type-C単体なら65WフルパワーでMacBookも充電できる。さらに、Qi2対応のワイヤレス充電器もテーブルに内蔵されており、置くだけで最新のiPhoneを高速充電できる。通常のACコンセントも完備している。
特に感心したのは、これらがテーブルの見えない位置に巧妙に組み込まれていること。Anker製の充電器が仕込まれた専用テーブルは、見た目はスッキリしているが機能性は抜群だ。ケーブルも各席に2本ずつ常備されており、2人がけ席では左右に2本ずつ配置されているため、隣の人とケーブルの取り合いになることもない。
「充電器を忘れた」「ケーブルがない」といった心配から完全に解放される。50席すべてがこの仕様というのも素晴らしい。電源カフェ難民にとっては、まさに理想郷といえるだろう。
充電環境ばかりに目が行きがちだが、カフェとしての実力も侮れない。コーヒーは350円とリーズナブルで、フェアトレード認証豆を使用。フードメニューも充実しており、スパイスから独自調合したというオリジナルカレーが990円、サンドイッチ類が790円と、全て1000円以下に抑えられている。
試食したバターチキンカレーは、からさは控えめながら本格的なスパイスの香りと味わいが楽しめた。「エネルギーをチャージする」というコンセプトに沿った、しっかりとした味付けだ。オリジナルのクラフトビール「Anker休息充電エール」(790円)など、バータイムも楽しめるメニュー構成になっている。
そして、もう一つの注目ポイントが有料の個室サービスだ。スタンダードルーム(1人用)が160円/15分、ミーティングルーム(最大4名)が480円/15分という価格設定。カレッタ汐留という一等地でこの価格はかなり良心的だ。
両室とも充電設備、Wi-Fi、ヘッドフォンを完備。ミーティングルームにはAnker製の会議用スピーカーとカメラも設置されており、オンライン会議にも対応する。予約はAnker Japan公式アプリから可能で、15分単位で利用できる柔軟性もうれしい。急なオンラインミーティングや集中して作業したいときに重宝しそうだ。
Anker Store & Cafe 汐留は、誰もが経験する「カフェで充電したいのにできない」という悩みを完全に解決してくれる。全席65W充電対応、ケーブル常備、Qi2対応という充実ぶりは、他のカフェではまねできないレベルだ。
ただし、改善点もある。特に気になったのが通信環境だ。Wi-Fi速度は約20Mbpsとやや遅め。さらに店内奥では各キャリアのモバイル通信も4Gで電波3本程度と弱くなる。リモートワークでの利用を想定すると、大容量ファイルのやりとりやビデオ会議には不安が残る。充電環境が完璧なだけに、この点は惜しい。
とはいえ、「充電難民ゼロ」を実現した功績は大きい。50席という席数の多さも含め、混雑時でも入店できる可能性が高いのも評価できる。個室の料金設定も魅力的で、汐留エリアで働くビジネスパーソンにとっては強力な選択肢となるだろう。これだけ完成度の高いカフェなら、渋谷や新宿など各地に展開してほしいと思った。
5月24日のオープン時には、先着400人にAnkerロゴ入り珪藻土コースターのプレゼントもある。モバイルワーカーなら、一度は訪れる価値のあるカフェだ。
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