世界を変える5G

auの通信が速くなる「優先レーン」サービスを試す 混雑時にどれだけ効果が出た? 適用/非適用スマホで比較:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2025年07月05日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]
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まったく差が出ない環境も、UXにどう昇華するかが課題か

 一方で、混雑しているように見えても、思っていたほど効果が出ないことがあった。以下の写真は、21時に近い混雑した渋谷のスクランブル交差点付近で撮影したものだ。ここでは、au 5G Fast Lane適用端末が104.6Mbpsなのに対し、非適用端末が105.6Mbpsと、結果が逆転している。逆転といっても、その差は1Mbpsで誤差のようなもの。速度差はなかったと捉えることができる。

 原因は不明だが、人が多いだけで、あまり通信していなかった可能性は考えられる。この時間帯のスクランブル交差点は、まさにカオス。信号が青になった瞬間ダッシュして交差点中央で撮影を始める観光客も多く、“歩きスマホ”をしていると、衝突してしまいかねない。ほとんどの人は、いったんスマホを使うのをやめ、横断歩道を渡っている。あくまで推測だが、比較的リソースが空いていた可能性はありそうだ。

au 5G Fast Lane 多くの人が行きかう、夜のスクランブル交差点。かなり混雑しているが、速度差は出なかった

 また、同じ渋谷でも、筆者の事務所がある東急本店跡地付近は人がまばらになることも多い。ここでスピードテストを行ったところ、案の定、大きな差は出なかった。au 5G Fast Lane適用端末が49.1Mbpsだったのに対し、非適用端末は53.4Mbpsと、ここでも結果が逆転しているが、誤差の範囲といったところ。“混雑時”に相対的な速度が上がるというKDDIの説明が裏付けられた格好だ。

au 5G Fast Lane 人が少ない場所だと、ほぼ差は出ない。写真は筆者事務所内で撮影したもの

 夜の渋谷で測定した結果はやや不可解だが、ある程度混雑していそうな場所では、速度差がしっかり出た。とはいえ、それぞれの結果を見れば分かるように、非適用端末が突出して遅くなるというわけでもない。au 5G Fast Laneを導入したからといって、安い料金プランを契約するユーザーがないがしろになっているわけではないといえそうだ。逆に、このぐらいの差であれば、実利用では適用されていることに気付かない可能性もある。

 ただ、これだと、データ無制限プランにつく特典の1つとしてのアピールが弱くなってしまう印象も受けた。実利をどう伝えていくのかは、今後の課題といえる。auバリューリンクプランを発表した際に、KDDIの代表取締役社長CEOを務める松田浩路氏は、「将来的には5G SAにネットワークスライシングが入り、お客さまに応じた通信のプレミアムな部分をご体験いただき、対価をいただく形に持っていきたい」と語っていた。

au 5G Fast Lane KDDIの松田社長は、ネットワークスライシング導入の試金石になると語っていた

 au 5G Fast Laneは、その「試金石として入れている」(同)サービスになる。ネットワークスライシングであれば、クラウドゲームに最適化した通信環境や、混み合っている場所でも、最低限決済サービスだけは通すような通信環境を作ることが可能。au 5G Fast Laneを、よりきめ細かにした対応が実現できる。Opensignalの調査でトップに立ったKDDIだが、その優位性を生かし、ユーザーにとって分かりやすい体験に昇華させていくのが次のステップで必要になるかもしれない。

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